特定公社債等に係る課税方式等の改正について
◆改正の概要
平成28年1月1日以後、特定公社債・公募公社債投資信託等(以下「特定公社債等」)について、次の措置を講ずる。
※特定公社債とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成27年12月31日以前に発行された公社債(同族会社が発行した社債を除く)などの一定の公社債。
◎利子所得等の課税方式
特定公社債等の利子等については、20%源泉分離課税の対象から除外し、次の措置を講ずる。
・平成28年1月1日以後に居住者等が支払を受けるべき特定公社債等の利子等については、20%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税を除く)の税率による申告分離課税の対象とする。ただし、源泉徴収がされるべき利子等で支払調書の提出等がされないものは、申告分離課税の対象外とする。
・平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等(源泉徴収が行われたものに限る)を有する居住者等は、当該特定公社債等の利子等については、申告を要しないことができることとする。
◎譲渡所得等の課税方式
特定公社債等の譲渡所得等については、非課税の対象から除外し、次の措置を講ずる。
・居住者等が、平成28年1月1日以後に特定公社債等の譲渡をした場合には、当該特定公社債等の譲渡による譲渡所得等については、20%の税率による申告分離課税の対象とする。
・特定公社債等の償還又は一部解約等により支払を受ける金額については、特定公社債等の譲渡所得等に係る収入金額とみなすことにより、20%の税率による申告分離課税の対象とするとともに、損失が生じた場合には他の特定公社債等の譲渡所得等から控除することを可能とする。
◎上場株式等の譲渡損失及び配当所得の損益通算並びに繰越控除の特例の対象範囲の拡充
・上場株式等の譲渡損失及び配当所得(申告分離課税を選択したものに限る)の損益通算の特例の対象に、特定公社債等の利子所得等及び譲渡所得等を加え、これらの所得間並びに上場株式等の配当所得及び譲渡所得等との損益通算を可能とする。
・平成28年1月1日以後゙に特定公社債等の譲渡により生じた損失の金額のうち、その年に損益通算をしても控除しきれない金額については、翌年以後3年間にわたり、特定公社債等の利子所得等及び譲渡所得等並びに上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限る)及び譲渡所得等からの繰越控除を可能とする。
◎特定口座での取扱い
・居住者等が特定口座を開設している金融商品取引業者等への買付けの委託により取得した特定公社債等又は当該金融商品取引業者等から取得した特定公社債等を、当該特定口座へ受け入れることができることとする。この場合には、特定口座内の特定公社債等に係る譲渡所得等の金額と特定口座以外の特定公社債等に係る譲渡所得等の金額は、区分してこれらの金額を計算することとする。
・居住者等が金融商品取引業者等の営業所を通じて特定公社債等の利子等の支払を受ける場合において、当該居住者等が当該金融商品取引業者等の営業所に源泉徴収口座(源泉徴収をする特定口座)を開設しているときは、当該利子等を当該源泉徴収口座に受け入れることができることとする。
・源泉徴収口座に受け入れた特定公社債等の利子等又は上場株式等の配当等に対する源泉徴収税額(特別徴収税額)を計算する場合において、当該源泉徴収口座内における特定公社債等又は上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、当該利子等又は配当等の額から当該譲渡損失の金額を控除した金額に対して20%の税率を乗じて徴収すべき所得税及び住民税の額を計算することとする(源泉徴収口座内における損益通算)。
・居住者等が平成27年12月31日以前に取得した特定公社債等を、平成28年1月1日に特定口座に受け入れることができる措置を講ずる。また、平成28年1月1日から同年12月31日までの間は、自己が保管する特定公社債等を実際の取得日及び取得価額で特定口座に受け入れることができることとする。