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中小企業も知っておきたい改正会社法

◆特定支配株による株式売渡請求(キャッシュアウト)制度の新設

 総株主の議決権の9/10を保有する株主(特別支配株主)は、他の株主に対して保有株式の売渡しを請求できる制度が新設されました。すでに発行されている株式が、少数株主から大株主に直接移転する制度ですので、会社が株式を取得する必要はありません。同制度のポイントは、以下の通りです。
・特別支配株主がこの制度を使うためには、対象株式の売買価格、当該株式を取得する日(取得日)等を定めて、その株式の対象会社の取締役会で承認を受ける必要があります。
・株式の取得価格は適正なものであることが必要とされています。
・承認後、対象会社は取得日の20日前までに、売渡請求をされる株主(売渡株主)に対し、*当該売渡請求を承認した旨、*売渡請求をしている者の氏名、名称及び住所、*売渡に対する対価に関する事項などを通知する必要があります。
・会社から通知等がされると、特別支配株主から売渡株主に請求があったものとみなされ、取得日には株式の全部を取得します。
・売渡株主は、特別支配株主が提示した株式の価格が会社の財産の状況等の事情から著しく不当である場合や、売渡株主が不利益を受けるおそれがある場合は、特別支配株主に売渡請求をやめるよう請求できます。
・また、売渡株主は、取得日の20日前から取得日の前日までの間に、裁判所に売買価格の決定を申し立てることもできます。さらに、取得日から6ヵ月以内であれば売渡株主らは売渡請求の無効の訴えを起こすことができます。ただし、敗訴した場合に重過失等があったときは、特別支配株主に損害を賠償する責任を負います。
・事業承継や組織再編の際に使うことが可能な規程ですが、少数株主とのトラブルを防止するため、慎重な検討が必要です。

◆監査役の監査範囲についての登記

 定款で監査役の監査範囲に業務監査を含まず会計監査のみに限定する会社について、その旨の登記をすることが必要になりました(現在、既に会計監査に限定している会社を含む)。
 当該登記は、改正会社法の施行後、最初に監査役が就退任(重任を含む)する際に行う必要があります。

◆多重代表訴訟制度

 従来の株主代表訴訟に加え、新たに100%出資の子会社の役員に対し、株主代表訴訟を提起することが可能となりました。
 新しい制度で訴訟を提起することができる対象子会社は、親会社が100%株式を所有する子会社の場合で、その子会社が親会社の総資産の1/5以上を占める場合です。
 また、訴訟提起できる株主は、当該株主が親会社の発行済株式の1%以上を所有しており、当該株主がその株式を6ヵ月以上継続して保有している場合※に限られます。

この制度の対象となる子会社は、国内子会社に限定されます。
※親会社の定款に「株式の譲渡を制限する旨」の規定を置いている場合には「当該株主がその株式を6ヵ月以上継続して保有している場合」の要件は不要です。

◆社外役員(社外取締役、社外監査役)の資格見直し

  社外役員の独立性を強化するための措置として、社外取締役、社外監査役の資格が見直しになります。
改正前は、当該取締役が、現在もしくは過去にその会社または子会社の業務執行取締役・執行役・使用人となったことがないこと、当該監査役が過去にその会社または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人となったことがないこととされていました。
  改正により、過去の部分については「就任前10年間」に限定されました。また、要件として、当該取締役・監査役が、*「親会社等」の関係者でないこと、*兄弟会社(=親会社等の子会社等)」の業務執行関係者でないこと、*経営者等の近親者(配偶者、2親等内の親族)でないこと、が追加されました。

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