平成27年10月から開始される主な制度等の概要
◆国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し
電子書籍・音楽・広告の配信などのインターネット等を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、以下の見直しが行われます。
◎電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準の見直し‥‥消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定基準(内外判定基準)を、役務の提供を行う者の所在地から、「役務の提供を受ける者の住所等」に見直します。これにより、国内に住所等を有する者に対する電気通信利用役務の提供は、国内、国外いずれから提供を行っても国内取引となります。
◎「リバースチャージ方式」の導入‥‥国外事業者が行う「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、当該役務の提供を受けた国内事業者が「特定課税仕入れ」として申告・納税を行う、いわゆる「リバースチャージ方式」が導入されました。ただし、経過措置により、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度の適用事業者は、当分の間、その役務の提供に係る仕入れはなかったものとされ、リバースチャージ方式による申告を行う必要はありません。
◎消費者向け電気通信利用役務の提供に係る仕入税額控除の制限‥‥国外事業者から提供を受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、当分の間、仕入税額控除が制限されます。ただし、「登録国外事業者」から提供を受けた場合は、仕入税額控除を行うことができます。
◆中小企業信用保険法の改正
中小企業と同様に事業を行い、地域の経済や雇用を担う特定非営利活動法人(NPO法人)の事業資金の調達を支援するため、NPO法人を信用保険の対象に加え、信用保証制度を利用することが可能となります。
◆地域別最低賃金の改定
平成27年度の地域別最低賃金の改定額は、すべての地域で16円以上の引上げとなり、全国加重平均額は798円(引上げ額は18円)となりました。改定額の発行日は、各都道府県で異なりますが、10月1日~10月18日までに発効されます。
◆労働者派遣法の改正(施工は平成27年9月30日)
派遣期間制限が見直され、専門26業務か否かに関わりなく以下の制限が適用されることになります(施行日時点で既に締結されている派遣契約は、契約終了まで改正前の期間制限が適用)。
◎派遣先事業所単位の期間制限‥‥同一の派遣先事業所において、労働者派遣の受入れを行うことができる期間は、原則3年が限度となります。3年を超えて受け入れようとする場合、派遣先の過半数労働組合等から意見を聞く必要があります(1回の意見聴取で延長できる期間は3年)。
◎派遣労働者個人単位の期間制限‥‥同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」)において受け入れることができる期間は、原則3年が限度となります。
◆労働契約申込みみなし制度
派遣先が以下の①~④に掲げる違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされます(違法派遣について、派遣先が善意無過失である場合を除く)。
①労働者派遣の禁止業務に従事させた場合 ②無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合 ③派遣可能期間を超えて労働者派遣を受け入れた場合 ④いわゆる偽装請負の場合
◆70歳以上被用者該当届の提出対象拡大
昭和12年4月1日以前に生まれた方も、賃金と年金額に応じた老齢厚生年金の支給停止の対象となるため、「70歳以上被用者該当届」の提出が必要となります。
◆同月中に被保険者資格の取得と喪失した場合の取り扱い
厚生年金保険の被保険者資格を取得した月に喪失し、さらにその月に国民年金の被保険者(第2号被保険者は除く)の資格を取得した場合は、国民年金保険料のみを納付することになり、厚生年金保険料の納付は不要となります。
◆国民年金保険料の後納制度
「10年の後納制度」は、平成27年9月30日をもって終了し、平成27年10月1日から3年間に限り、過去5年間に納め忘れた国民年金保険料を納付することができる「5年の後納制度」が始まります。