景品表示法改正によって導入される「課徴金制度」の概要
不当な表示による顧客の誘引を防止するため、不当景品類及び不当表示防止法への課徴金制度の導入等を内容とする不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律が平成26年11月19日に成立し、平成28年4月1日から施工される。
改正法の施工に伴い、事業者が課徴金対象行為を施行日以後にした場合、消費者庁長官は、その他の要件を満たす限り、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じることとなる。
◆課徴金対象行為
課徴金の対象となる行為は、商品又は役務の内容について、実際のものや競合他社のものよりも著しく優良であると一般消費者に対し示す表示(優良誤認表示)、及び商品又は役務の取引条件について、実際のものや競合他社のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示(有利誤認表示)である。
また、不実証広告規制に係る表示行為について、一定の期間内に当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出が無い場合に、事業者がした表示が優良誤認表示に該当するか否かを判断するため必要があるときは、当該事業者に対し、期間を定めて当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、当該事業者が当該資料を提出しない場合は、当該表示は優良誤認表示に該当する表示と推定して課徴金を賦課する。
◆賦課金額の算定
課徴金額は、課徴金対象期間※に取引をした課徴金対象行為に係る商品又は役務の政令で定める方法により算定した売上額に3%を乗じて得た額となる。
ただし、当該事業者が課徴金対象行為をした期間を通じて課徴金対象行為に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるとき、又は算定した課徴金額が150円未満であるときは、その納付を命ずることができない。
※課徴金対象期間とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた日から6ヵ月を経過する日、又は不当に顧客を誘引し一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するための措置をとった日のいずれか早い日までの間に、課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をした場合は、課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間)とし、当該期間が3年を超えるときは、当該期間の末日から遡って3年間とする。
◆課徴金額の減額
事業者が、調査を受けたことによって課徴金納付命令がかされることを予知する前に、課徴金対象行為を自主申告した場合には、課徴金額を2分の1に減額する。
◆除斥期間
課徴金対象行為をやめた日から5年を経過したときには、課徴金の納付を命じることができない。
◆課徴金納付命令に係る弁明の機会の付与
課徴金納付命令が発せられる際には、弁明の機会を付与する。弁明書の提出期限までに相当な期間をおいて、課徴金納付命令の名宛人となる事業者に対し、課徴金納付命令を納付を命じる課徴金の額、課徴金の計算の基礎及び原因となった課徴金対象行為、弁明書の提出先及び提出期限を記載した書面により通知される。
◆返金措置の実施による課徴金の減額等
商品及びサービスの取引に関する不当な表示によって消費者に生じた被害の回復を促進するため、課徴金納付命令の通知を受けた者は、課徴金対象期間に商品又はサービスの取引を行った一般消費者からの申出があった場合に、当該申出者に対して購入額に3%を常時だ額以上の金銭を交付する措置(返金措置)を実施した場合は、課徴金を命じない又は減額する。
1.実施予定返金措置計画の作成・認定:自主返金により課徴金の減額を受けようとする事業者は、実施予定返金措置計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受ける。
2.返金措置の実施:事業者は、実施予定返金措置計画に沿って適正に返金を実施する。
3.報告期限までに報告:返金措置の実施期間経過後、1週間以内に、返金措置の結果を内閣総理大臣に報告した場合には、返金措置において公布された返金額を課徴金の額から減額する。また、返金額が課徴金以上の場合は課徴金の納付を命じない。