最低賃金引上げに係る厚労省の助成措置
◆キャリアアップ助成金の拡充
有期契約労働者等のいわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進するため、正社員化、人材育成、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
◎賃金規定等改定(処遇改善コース)の概要
有期契約労働者等の基本給の賃金改定等を2%以上増額改定し、昇給した場合
・すべての賃金規定等を増額改定した場合に対象労働者の数が
*1人~3人:10万円(中小以外 7.5万円) *4人~6人:20万円(同 15万円)
*7人~10人:30万円(同 20万円) *11人~100人:1人当たり3万円(同 2万円)
・一部(雇用形態・職種別等)の賃金規定等を増額改定した場合に対象労働者の数が
*1人~3人:5万円(同 3.5万円) *4人~6人:10万円(同 7.5万円)
*7人~10人:15万円(同 10万円) *11人~100人:1人当たり1.5万円(同 1万円)
※職務評価の手法の活用で処遇改善を実施した場合、1事業所当たり20万円(15万円)を加算
◎支給要件の緩和(平成28年8月5日~)
・キャリアアップ計画書の提出期限の緩和:「取組実施前 1ヵ月まで」を「取組実施日まで」に変更。
・賃金規定等の運用期間の緩和:「改定前の賃金規定等を3ヵ月以上運用していること」が要件でしたが、新たに賃金規程等を作成した場合でものその内容が、過去3ヵ月間の賃金の実態からみて2%以上増額していることが確認できれば支給対象となります。
※「賃金規定等」とは、賃金規定や賃金一覧表など、賃金額の定めがあれば支給対象。
・最低賃金との関係に係る要件緩和:「最低賃金額の公示日以降、賃金規定等の増額分に公示された最低賃金額までの増額分は含めないこと」としていましたが、「最低賃金額の発効日以降、賃金規定等の増額分に発効された最低賃金額までの増額分は含めないこと」に変更。
◎中小企業に対する加算措置の創設(補正予算案の成立等が必要であり現時点は予定)
中小企業が基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、昇給した場合、上記現行制度の助成額に
*1人当たり 14,250円(※18,000円)を加算(すべての賃金規定等改定の場合)
*1人当たり 7,600円(※9,600円)を加算(一部の賃金規定等改定の場合)
※申請があった企業において、生産性の向上が認められる場合は加算額が増加。
◎申請までの流れ
賃金規定等の改定(作成)・増額までに「キャリアアップ計画書」を作成・提出する必要があります。また、賃金規定等の改定(作成)・増額後、6ヵ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2ヵ月以内に支給申請をします。
※今年度の最低賃金額の引上げに向け取り組む場合、最低賃金額の発効日の前日までにキャリアアップ計画書の提出、賃金規定等の改定(作成)・2%以上増額を行います。
◆業務改善助成金
中小企業の生産性向上を支援し、事業場内の賃金引上げを図るための制度です。地域別最低賃金が800円未満の地域に事業場(支社等)があれば助成対象となります。
◎支給要件
・事業場内で最も低い時間給800円未満の労働者(雇入れ後6ヵ月を経過していること)の賃金を60円以上引き上げる計画を作成し、賃金引上げを行うこと。
・生産性向上のための設備・器具の導入などを行うこと。
※パソコン、営業車輌など社会通念上当然に必要とされる経費は除きます。
・事業場内で最も低い時間給が改定後の地域別最低賃金を下回る場合、賃金引上げは、その発効日の前日までに行うことが必要です。賃金引上げを地域別最低賃金の発効日以後に行う場合は、改定後の地域別最低賃金額を基礎として60円以上の賃上げを行うことが必要です。
◎支給額
常時使用する労働者の数が31人以上の企業は、業務改善に要した経費の2分の1、常時使用する労働者の数が30人以下の企業は、業務改善に要した経費の4分の3となります。ただし、上限額は100万円です。
※平成27年度以前に業務改善助成金の交付を受けている場合は、交付対象外。