消費税が非課税となる主な取引の概要
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。しかし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。
◆主な非課税取引
◎土地の譲渡及び貸付け・・・土地には、借地権などの土地の上に存する権利を含みます。ただし、 1ヶ月未満の土地の貸付け及び駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。
◎有価証券等の譲渡・・・国債や株券などの有価証券、登録国債、合名会社などの社員の持分、抵当証券、金銭債権などの譲渡。ただし、株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。
◎支払手段の譲渡・・・銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡。ただし、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。
※平成29年7月1日以後、資金決済に関する法律第2条第5項に規定する仮想通貨の譲渡は非課税となります。
◎預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等・・・預貯金や貸付金の利子、信用保証料、合同運用信託や公社債投資信託の信託報酬、保険料、保険料に類する共済掛金など。
◎日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
◎商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
◎国等が行う一定の事務に係る役務の提供・・・国、地方公共団体、公共法人、公益法人等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料。一定の事務とは、例えば、登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付などです。
◎外国為替業務に係る役務の提供
◎社会保険医療の給付等・・・健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など。だだし、美容整形や差額ベッドの料金及び市販されている医薬品を購入した場合は非課税取引に当たりません。
◎介護保険サービスの提供・・・介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービス、施設サービスなど。ただし、サービス利用者の選択による特別な居室の提供や送迎などの対価は非課税取引には当たりません。
◎社会福祉事業等によるサービスの提供・・・社会福祉法に規定する第一種・第二種社会福祉事業、更生保護事業法に規定する更生保護事業などの社会福祉事業等によるサービスの提供
◎助産・・・医師、助産師などによる助産に関するサービスの提供
◎火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
◎一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け・・・義肢、盲人用安全つえ、義眼、点字器、人工喉頭、車いす、改造自動車などの身体障害者用物品の譲渡、貸付け、製作の請負及びこれら身体障害者用物品の修理のうち一定のもの
◎学校教育・・・学校教育法に規定する学校、専修学校、修業年限が1年以上などの一定の要件を満たす各種学校等の授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など
◎教科用図書の譲渡
◎住宅の貸付け・・・契約において人の居住の用に供することが明らかなものに限られます。ただし、 1ヶ月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません。
◆非課税と免税の違い
消費税では、非課税取引のほかにも、消費税が免除される「免税取引」があります。例えば、商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスの提供などの輸出類似取引などです。
非課税とされる取引には消費税が課税されませんので、非課税取引のために行った課税仕入れについては、原則としてその仕入れに係る消費税額を控除することができません。これに対して、免税とされる輸出や輸出類似取引は、課税資産の譲渡等に当たりますが、一定の要件が満たされる場合に、その売上げについて消費税が免除されるものです。したがって、その輸出や輸出類似取引などの免税取引のために行った課税仕入れについては、原則として仕入れに係る消費税額を控除することができることとなります。