役員に対する定期同額給与と税法上の役員の範囲
◆役員に対する定期同額給与の概要
定期同額給与とは次に掲げる給与です。
(1)その支給時期が1ヵ月以下の一定の期間ごとである給与(定期給与)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの。
(2)定期給与の額につき、次に掲げる改定がされた場合におけるその事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又はその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの。
・その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3ヵ月を経過する日までにされた定期給与の額の改定。ただし、特別の事情があると認められる場合はその改定の時期。
・その事業年度において役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情によりされたその役員に係る定期給与の改定(臨時改定事由)。
・その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりされた定期給与の改定(業績悪化改定事由※)。
※業績悪化改定事由とは、*財務諸表の数値が相当程度悪化した場合、*第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、減額せざるを得ない事情がある場合、*現状では売上などが悪化しているとは言えないものの、役員給与の減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況(主要な得意先が手形の不渡りを出した等)から、今後著しく悪化することが避けられない場合などが該当。
(3)継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される額が毎月おおむね一定であるもの。
※平成29年度税制改正による定期同額給与の見直しにより、定期給与の各支給時期における支給額から源泉税等の額(定期給与について源泉徴収をされる所得税の額、特別徴収をされる地方税の額、健康保険法その他の法令の規定によりその定期給与から控除される社会保険料の額その他これらに類するものの額の合計額)を控除した金額が同額である場合に、その定期給与の各支給時期における支給額は、同額であるものとみなすこととされました。
この改正は、平成29年4月1日以後に支給に係る決議(その決議が行われない場合には、その支給)をする給与について適用されます。
◆法人税法上の役員の範囲
役員とは次の者をいいます。
1.法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人
2.上記1以外の者で次のいずれかに当たるもの
◎法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る)以外の者で、その法人の経営に従事しているもの
例えば、*取締役又は理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等、*合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員、*人格のない社団等の代表者又は管理人、*法定役員ではないが、法人が定款等において役員として定めている者、*相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものも含まれます。
◎同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る)のうち、次に掲げるすべての要件を満たす者で、その法人の経営に従事しているもの
(1)その会社の株主グループ※をその所有割合の大きいものから順に並べた揚合、その使用人が次のいずれかの株主グループに属していること。
・所有割合50%超の第一順位の株主グループ
・第一順位と第二順位の所有割合を合計し50%超となる場合のこれらの株主グループ
・第一順位から第三順位までの所有割合を合計し50%超となる場合のこれらの株主グループ
(2)その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。
(3)その使用人(配偶者並びにこれらの者の所有割合が50%超である他の会社を含む)の所有割合が5%を超えていること。
※「株主グループ」とは、その会社の一の株主等及びその株主等と親族関係など特殊な関係のある個人や法人をいいます。