算定基礎届の概要と注意点等
◆概要
被保険者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、事業主は、7 月1日現在で使用している全被保険者の3ヵ月(4~6月)の報酬月額を算定基礎届により届出し、この届出内容に基づき毎年1回、標準報酬月額を決定し直します。これを定時決定といいます。
◆提出の対象となる被保険者の範囲
定時決定(算定基礎届)の対象となるのは、7月1日現在の全ての被保険者です。ただし、(1)6月1日以降に資格取得した方、(2)6月30日以前に退職した方、(3)7月改定の月額変更届を提出する方のいずれかに該当する方は算定基礎届の提出が不要です。
なお、総括表および総括表附表は、本年7月1日現在の被保険者数を確認するための届ですので、全ての被保険者が(1)~(3)に該当する場合も必ず提出します。
◆報酬とは
標準報酬月額の対象となる報酬とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのものを含みます。また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に含まれます。だだし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与(年3回以下支給されるものは標準賞与額の対象)などは報酬に含みません。
◆標準報酬月額の決定方法
4月・5月・6月に受けた報酬のうち、支払基礎日数が17日以上の月の報酬を単純平均して、標準報酬月額を決定します。
短時間就労者※の場合は、支払基礎日数が17日以上の月が1ヶ月以上あれば該当月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定しますが、各月とも支払基礎日数が17日未満の場合は、15日以上の月を平均します。なお、各月とも15日未満の場合は、従前の月額となります。※短時間就労者とは、パートタイマー、アルバイト、契約社員、準社員、嘱託社員等の名称を問わず、正規社員より短時間の労働条件で勤務する方をいいます。
特定適用事業所に勤務する短時間労働者※の場合は、4月、5月、6月のいずれも支払基礎日数が11日以上で算定することとなります。
※短時間労働者とは、一般社員の所定労働時間および所定労働日数が3/4未満で、①週の所定労動時間が20時間以上、②賃金が月額8.8万円以上、③雇用期間が1年以上見込まれる、④学生ではない、⑤常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めている、の全てに該当する方です。
【保険者算定】
通常の算定方法によって報酬月額を算定することが困難な場合や著しく不当である場合、保険者が報酬月額を算定し標準報酬月額を決定します。これを保険者算定といいます。
○4~6月の3ヵ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)未満の場合……従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定します。
○4~6月の3ヵ月間に3月分以前の給料の遅配分を受けた、又は遡及して昇給したことにより差額を一括して受けた場合……遅配分又は昇給差額分を差し引いて報酬月額を算定します。
○4~6月のいずれかの月に低額の休職給を受けた場合……2ヵ月以下の月が該当する場合は、当該月を除いて報酬月額を算定します。
○4~6月のいずれかの月にストライキによる賃金カットがあった場合……2ヵ月以下の月が該当する場合は、当該月を除いて報酬月額を算定します。
○「当年の4~6月の3ヵ月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」と「前年の7月から当年の6月までに受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」の間に2等級以上の差を生じた場合で、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合(いずれも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)未満の月を除く)……前年7月から当年6月までの間に受けた報酬の月平均額から算定した標準報酬月額にて決定します。
○給与計算期間の途中(途中入社月)で資格取得したことにより、4~6月のいずれかに1 ヵ月分の報酬が受けられなかった月がある場合……当該1ヵ月分の報酬が支給されなかった月を除いて報酬月額を算定します。
○4~6月の3ヵ月とも無給又は低額の休職給の場合……従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定します。