災害に関する税制上の取り扱いについて(法人関係)
◆災害に関して法人が支出する費用などの主な取扱い
◎災害により滅失・損壊した資産等
次のような損失又は費用が生じたときには、その損失又は費用の額は損金の額に算入されます。
*商品や店舗などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失の額
*損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額
*土砂その他の障害物の除去のための費用の額
◎復旧のために支出する費用
法人が、災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」)について支出する次のような費用に係る資本的支出と修繕費の区分については、次のとおりとなります。
*被災資産についてその原状を回復するための費用は、修繕費となります。
*被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用について、修繕費とする経理をしているときは、この処理が認められます。
*被災資産について支出する費用(上記に該当するものを除く)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます。
◎従業員等に支給する災害見舞金品
法人が、災害により被害を受けた従業員等又はその親族等に対して一定の基準に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金の額に算入されます。
◎取引先に対する災害見舞金等
法人が、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与等のために要した費用は、交際費等に該当しないものとして損金の額に算入されます。
◎取引先に対する売掛金等の免除等
法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として売掛金、貸付金等の債権を免除する場合には、その免除することによる損失は寄附金又は交際費等以外の費用として損金の額に算入されます。また、既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合及び災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様に取り扱われます。
◆災害により被害を受けた場合の特例
◎災害損失欠損金の繰戻しによる法人税額の還付
災害のあった日から1年以内に終了する事業年度において、災害損失欠損金額※がある場合には、その事業年度開始の日から2年(白色申告の場合は1年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付を請求することができます。
※災害損失欠損金額とは、棚卸資産や固定資産などについて災害のあった日の属する事業年度において災害により生じた損失の額のうち欠損金額に達するまでの金額。
◎災害損失金額がある場合の仮決算の中間申告による所得税額の還付
災害のあった日から6月以内に終了する中間期間において、災害損失金額がある場合には、仮決算の中間申告において、控除しきれなかった所得税額の還付を受けることができます。
◎被災代替資産等の特別償却
特定非常災害として指定された災害について、発生日の翌日以後5年を経過する日までの期間内に、被災代替資産等の取得等をして事業の用に供した場合には、特別償却をすることができます。
◎消費税の簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例
災害等が生じたことにより被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は受けることの必要がなくなった場合には、税務署長の承認を受けることにより、当該災害等の生じた日の属する課税期間から、簡易課税制度の適用を受けること、又はやめることができます。
※例えば、災害によって事務処理能力が低下したため、一般課税から簡易課税への変更が必要になった場合や、棚卸資産その他業務用の資産に相当な損害を受け、緊急な設備投資を行うため、簡易課税から一般課税への変更が必要になった場合などに適用。