新型コロナウイルス感染拡大に伴うセーフティネット保証と雇用調整助成金
◆セーフティネット保証4号、5号
経済産業省は、新型コロナウイルス感染症の影響により売上高等が減少している中小企業者・小規模事業者の資金繰り支援措置として、自治体からの要請に基づき、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠(最大2.8億円)で100%保証する「セーフティネット保証4号」を47都道府県を対象に発動することとしました。
また、重大な影響が生じている業種に別枠(最大2.8億円)で80%保証する「セーフティネット保証5号」についても、対象となる指定業種の追加が行われます。
【セーフティネット保証4号の概要】
自然災害等の突発的事由により経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金供給の円滑化を図るため、都道府県から要請があり国として指定する必要があると認める場合に、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の100%を保証する制度で、以下のいずれにも該当する中小企業者が措置の対象となります。
(イ)指定を受けた地域において1年間以上継続して事業を行っていること。
(ロ)災害等の発生に起因して、その事業に係る当該災害等の影響を受けた後、原則として最近1か月間の売上高又は販売数量(建設業にあっては、完成工事高又は受注残高)が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2ヵ月間を含む3ヵ月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること。
【セーフティネット保証5号の概要】
全国的に業況の悪化している業種(指定業種)に属する事業を行う中小企業者を対象に、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で借入債務の80%を保証する制度で、以下のいずれかに該当する中小企業者が措置の対象となります。
(イ)指定業種に属する事業を行っており、最近3ヵ月間の売上高等が前年同期の売上高等に比して5%以上減少していること。
(ロ)指定業種に属する事業を行っており、製品等原価のうち20%を占める原油等の仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者。
◆雇用調整助成金の特例措置の対象事業主の範囲拡大
新型コロナウイルス感染症への対応として、令和2年2月14日より雇用調整助成金※について特例措置が講じられていますが、特例措置の対象となる事業主の範囲を拡大します。
※雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。
*助成率:大企業1/2、中小企業2/3 *支給限度日数:1年間で100日(3年間で150日)
【特例措置の対象事業主の範囲の拡大】
従来は、日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主が対象でしたが、対象事業主の範囲拡大により、「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主」が対象となります。
【特例措置の内容】
休業等の初日が令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に適用します。
①休業等計画届の事後提出が可能
通常は事前に計画届の提出が必要ですが、令和2年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、令和2年5月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものとします。
②生産指標の確認対象期間を3ヵ月から1ヵ月に短縮
最近1ヵ月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していれば、生産指標の要件を満たします。
③最近3ヵ月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象
通常、雇用保険被保険者及び派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3ヵ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんが、その要件を撤廃します。
④事業所設置後1年未満の事業主も助成対象
令和2年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主については、生産指標を令和元年12月の指標と比較します。