相続人が行う「準確定申告」の概要
◆「準確定申告」とは
所得税は、毎年1月1日から 12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日 (※令和元年分は新型コロナウイルスの感染防止のため令和2年4月16日まで延長)までの間に申告と納税を行います。
しかし、年の中途で死亡した人の場合は、相続人が1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して相続の開始があったことを知った日の翌日から 4 ヵ月以内に申告 と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
準確定申告は、確定申告をしなければならない方(給与収入が 2,000 万円を超えている方や、給与所得・退職所得以外の所得の合計が 20 万円を超えている方、公的年金等の収入が 400 万円を超えている方、事業所得や不動産所得などがある方など)が亡くなった場合に必要となります。
※死亡した年の前年以前の年分の所得税(その年1月1日から3月15日までに死亡した場合の その前年分を除く)が無申告であったことにより提出する申告書等については 4 ヵ月の申告期間の適用はありません。
◆準確定申告をする場合の注意点等
◎被相続人が1月1日から確定申告期限までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合
確定申告をしなければならない方が1月1日から確定申告期限(原則 3月15日)までの間に 前年分の確定申告書を提出しないで死亡した場合は、前年分についても準確定申告の手続きが必要です。この場合の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から 4 カ月以内です。
◎相続人が2人以上いる場合
相続人が複数人いる場合は、各相続人が連署により準確定申告書を提出することになります。
ただし、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。この場合、当該申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければならないことになっています。
◎準確定申告における所得控除の適用
・医療費控除の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った医療費です。被相続人の死亡 後に支払われた医療費は、たとえ相続財産で支払われた場合であっても、被相続人の準確定申告上、 医療費控除の対象にすることはできません。なお、死亡後に相続人が支払った医療費については、その相続人と被相続人が生計を一にしていた場合、医療費を支払った相続人の医療費控除の対象となります。
・社会保険料、生命保険料、地震保険料控除等の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った保険料等の額です。
・配偶者控除や扶養控除等の適用の有無に関する判定(親族関係やその親族等の 1 年間の合計所 得金額の見積り等)は、死亡の日の現況により行います。
◎申告書の提出先
準確定申告書は、相続人の住所地の管轄税務署ではなく、被相続人が亡くなった当時の住所地の 所轄税務署に提出します。
◎申告書を作成する場合
準確定申告をする場合、通常の確定申告と同様の申告書で行いますが、『令和○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A』を使用する場合には、申告書の上余白に「準確」と表示し、『令和○年分の所得税及び復興特別所得税の申告書B」を使用する場合には、標題の余白部に 「準確定」と記載します。
◎「確定申告書付表」の添付
相続人が複数の場合には、申告書とともに各相続人の氏名、住所、被相続人との続柄などを記入 した「確定申告書付表」の提出が必要です。ただし、相続人が 1 人の場合には、申告書付表の提 出を省略して差し支えありません。なお、一緒に申告できない相続人は、別に確定申告書と申告書 付表を提出することになります。
◎マイナンバーの記載
申告書の提出に当たっては、全ての相続人の個人番号の記入及び本人確認書類の提示又は写しの添付が必要となります。ただし、被相続人の個人番号を記入する必要はありません。