新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置
令和2年4月7日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策において、緊急に必要な税制上の措置が講じられます(これらの実施は、国会で関係法案が成立すること等が前提)。
◆納税猶予の特例
令和2年2月1日以後の一定期間(1ヵ月月以上)において、収入が前年同期比概ね20%以上の減少した事業主について、一時の納税が困難と認められる場合は、無担保かつ延滞金なしで1年間、納税を猶予する特例を設ける。
所得税、法人税、消費税等ほぼ全ての税目が対象となり、社会保険料についても同様に取り扱う。 令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来するものに適用する(特例法施行から2ヵ月後、又は納期限のいずれか遅い日までに申請が必要)。
◆欠損金の繰戻し還付の特例
現在、中小企業(資本金1億円以下の法人)に認められている青色欠損金の繰戻し還付※について、中堅企業(資本金1億円超10億円以下の法人)も適用できることとする。
令和2年2月1日から令和4年1月31日の間に終了する事業年度に生じた欠損金に適用。
※欠損金の繰戻し還付とは、前期に所得(黒字)があり法人税を納付していた場合、当期の欠損金
(赤字)を前期に繰り戻して法人税の還付を受ける制度。
◆テレワーク等の設備投資税制(中小企業経営強化税制の拡充)
中小企業者等が認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を取得等をした場合に、即時償却又は7%(資本金3,000万円以下の法人は10%)の税額控除を適用できる中小企業経営強化税制の対象設備に、テレワーク等の設備投資に係る新たな類型(デジタル化設備)を追加する。
◆中止等されたイベントに係る入場料等の払戻請求権を放棄した者への寄附金控除の適用
中止等された文化芸術・スポーツに係る一定のイベント(令和2年2月1日から令和3年1月31日に国内で開催予定だったもの)の入場料等について、観客等が払戻請求権を放棄した場合、その放棄した金額(20万円が上限)を寄附金控除の対象とする。
◆住宅ローン控除の適用要件の弾力
①消費税率引上げに伴う住宅ローン減税の特例措置の適用について
消費税率10%が適用される住宅の取得等をした場合に、住宅ローン減税の控除期間を13年間とする特例措置について、新型コロナウイルスの影響により入居期限(令和2年12月末)に遅れる場合でも、一定の期日(新築:令和2年9月末まで、建売・中古住宅の取得、増改築等:令和2年11月末まで)までに契約が行われている上で、令和3年12月31日までに入居すれば、特例措置の対象となる。令和3年分以後の所得税に適用。
②中古住宅取得から6ヵ月以内の入居期限要件について
中古住宅の取得後に行った増改築工事等が新型コロナウイルスの影響で遅れ、入居期限に間に合わない場合でも、増改築等の契約を取得日から5ヵ月後又は特例法施行日のていれば、期限を「増改築等完了日から6ヵ月以内」とする。令和2年分以後の所得税に適用。
◆消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例
新型コロナウイルスの影響により、一定期間(1ヵ月以上)における売上が前年同期比概ね50%以上減少した事業主について、税務署に申請し承認を受けることで、課税期間の開始後であっても課税事業者を選択する(又はやめる)ことを認める。*特例法施行後に申告期限が到来し、かつ、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの 期間に売上減少が生じた期間が存在する課税期間に適用。
◆特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税
金融機関等が、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者に対して行う特別な貸付けに係る契約書については、印紙税を非課税とする(既に締結した契約に対しては遡及適用し還付を行う)
◆固定資産税等の軽減措置
中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税等について、令和2年2月~10月までの任意の3ヵ月間における売上の減少が前年同期比30%以上50%未満の場合は1/2、50%以上の場合は全額を、令和3年度の課税分に限り減免する。
令和3年1月31日までに経営革新等支援機関等の認定を受けて各市町村に申告した者に適用。
◆自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長
自家用乗用車(登録車及び軽自動車)を取得した際、環境性能割の税率を1%分軽減する臨時的措置の適用期限を6ヵ月延長し、令和3年3月31日までに取得したものを対象とする。