医療費控除を適用する場合の注意点等
◆医療費控除の概要
1年間(1月~12月)に本人又は生計を一にする親族のために支払った医療費※が10万円(総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%)を超える場合に、その超えた部分の金額(最高200万円)を所得控除できる制度です(セルフメディケーション税制との選択適用)。
※その年中に実際に支払われた医療費に限られます。また、生命保険契約に基づく入院費給付金などや、健康保険法の規定により支給される高額療養費や出産育児一時金などの医療費を補填する保険金等がある場合は、その給付目的となった医療費を限度として差し引きます。
◆「医療費控除の明細書」について
医療費控除を受けるためには、医療費の領収書を基に「医療費控除の明細書」を作成し、その明細書を添付した確定申告書を提出する必要があります(領収書は5年間保存が必要)。
なお、健康保険組合等から発行される「医療費通知(医療費のお知らせ)」※を添付する場合は、通知に記載されている医療費について明細書の記載を簡略化でき、領収書の保存も不要となります。
※医療費通知への反映が間に合わない期間の医療費や、市販薬の購入代、通院費、自由診療の医療費など通知に記載されない医療費がある場合、これらの領収書に基づき明細書への記載が必要です。
◆医療費控除の対象となる医療費について
医療費控除の対象となる医療費とは、医師や歯科医師に支払う診療・治療の費用のほか、病院までの交通費、治療に必要な医薬品の購入費、介護に係る一定の費用などが対象になります。
なお、治療等の費用については、保険適用かどうかに関わらず自由診療であっても対象となります。ただし、病気の予防や健康増進、美容のための費用や、病状に応じて一般的に支払われている金額を大きく上回る診療・治療の費用は対象になりません。
◎市販の医薬品の購入費用
・風邪などを治療するための医薬品の購入費用は対象となります。
・ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のための医薬品の購入費用は対象になりません。
◎入院費用
・入院の際の部屋代や、病院に対して支払う入院中の食事代は、医療費控除の対象になります。
・寝巻きや洗面具などの身の回り品の購入費用や、医師等に対するお礼は、対象になりません。
・個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、病状などにより個室を使用する必要のある場合は対象になりますが、本人や家族の都合だけで個室を使用する場合は対象になりません。
◎通院のための交通費
・バス、電車等の公共の交通機関を利用した場合は対象になります(小さい子供の通院に付添が必要なときなどは、付添人の交通費も含む)
・タクシーはバス・電車の利用ができない場合や急を要する場合以外は対象になりません。
・自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料金は対象になりません。
◎歯の治療費
・保険診療の対象とならない自由診療であっても、金やセラミックを歯の治療材料として使用することは一般的に行われているので、これらを使った治療の対価は医療費控除の対象になります。
・列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になりますが、容ぼうを美化するための歯列矯正の費用は、対象になりません。
◎出産に伴う費用
・妊娠と診断されてからの定期検診や検査、入院などの費用は、医療費控除の対象になります。
◎健康診断
・人間ドックの費用・疾病の治療を行うものではないので、原則として医療費控除の対象とはなりません。
・ただし、健康診断等の結果、重大な疾病が発見され、その疾病の治療を行った場合には、健康診断等のための費用も対象になります。
◎PCR検査の費用
・新型コロナの感染を診断するPCR検査の費用について、医師等の判断による検査は公費負担となるため自己負担はありません(診察料など検査以外の自己負担分は医療費控除の対象)。
・感染していないことを明らかにする目的などで、自己の判断により受けたPCR検査の費用(自費診療)は原則として対象にはなりませんが、検査の結果、陽性であることが判明し治療を行った場合は対象となります。