相続税・贈与税において土地評価額の基準となる路線価等
◆令和4年分の路線価及び評価倍率について
相続税や贈与税において土地等の価額は、時価により評価することとされていますが、納税者が土地等の時価を把握することは必ずしも容易ではないことから、国税局(所)では全国の民有地について、土地等の評価額の基準となる路線価及び評価倍率を定めて、毎年7月に公開しています。
この路線価等は1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定めています。
◎令和4年分の路線価等の状況
・標準宅地(約32万地点)における評価基準額の対前年変動率は、全国平均で0.5%のプラスとなり、2年ぶりに上昇。
・都道府県別でみると上昇したのは20都道府県で、上昇率が最も高かったのは北海道(4.0%)、次いで福岡県(3.6%)、宮城県(2.9%)と続く。一方、下落したのは27県で、下落率が最も高かったのは和歌山県(▲1.3%)、次いで愛媛県(▲1.1%)、群馬県(▲1.1%)と続く。
・都道府県庁所在地における最高路線価が上昇した都市は15都市、横ばいは16都市、下落は16都市(令和3年分は上昇8都市、横ばい17都市、下落22都市)となっている。
・最高路線価の価額が最も高かったのは、東京都中央区銀座5丁目「銀座中央通り」の1㎡当たり4,224万円で、昭和61年分以降37年連続の全国一となったが、対前年変動率は▲1.1%となり、2年連続で下落している(令和3年分は▲7.0%)。
◎土地の評価方法(路線価方式と倍率方式)
相続や贈与により取得した土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
路線価方式は、路線価(道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額)が定められている地域の評価方法で、路線価をその土地の形状等に応じた各種補正率(奥行価格補正率や側方路線影響加算率など)で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。
倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法で、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
なお、相続税や贈与税の申告にあたっては、課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の属する年分の路線価図や評価倍率表を使います。その年分の路線価図や評価倍率表がまだ公表されていない場合は、その年分の路線価図や評価倍率表が公表されてから評価を行います。
◆小規模宅地等の特例について
個人が相続や遺贈によって取得した財産のうち、その相続開始直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等がある場合は、一定の要件の下に、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定割合を減額する「小規模宅地等の特例」が設けられており、下表に掲げる区分ごとにそれぞれに掲げる割合を減額します。
例えば、被相続人等の居住の用に供されていた宅地等を、被相続人の配偶者や、被相続人と同居していた親族が相続等により取得した場合は、「特定居住用宅地等」に該当し330㎡まで80%減額できます(配偶者や同居親族がいない場合で一定要件を満たす別居親族も適用可能)。
☆被相続人等の事業の用に供されていた宅地等
◎貸付事業以外の事業用の宅地等
・特定事業用宅地等に該当する宅地等
限度面積 400㎡ 減額割合 80%
◎貸付事業用の宅地等
〇一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等
・特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等
限度面積 400㎡ 減額割合 80%
・貸付事業用宅地等に該当する宅地等
限度面積 200㎡ 減額割合 50%
〇一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等
・貸付事業用宅地等に該当する宅地等
限度面積 200㎡ 減額割合 50%
〇被相続人等の貸付事業用の宅地等
・貸付事業用宅地等に該当する宅地等
限度面積 200㎡ 減額割合 50%
☆被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
・特定居住用宅地等に該当する宅地等
限度面積 330㎡ 減額割合 80%