セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の概要
◆制度の概要
セルフメディケーション税制とは、健康の維持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日~令和8年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定成分を含んだOTC医薬品(いわゆる薬局・ドラッグストア等で購入できる医薬品)の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払った対価額の合計額が1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(上限:8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除する税制です。
なお、セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となりますので、いずれか一方を選択して適用することになります。したがって、セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択した方は、通常の医療費控除を受けることはできません。
◆本税制の対象となる「一定の取組」を行う者とは
セルフメディケーション税制の適用を受ける本人が、適用を受けようとする年分に「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている場合が対象となります。具体的には、以下の1~5のいずれかの取組が「一定の取組」に該当します。
なお、本税制において所得控除の対象となるのは、特定成分を含んだOTC医薬品の購入の対価額であり、健康診査等の「一定の取組」にかかった費用は所得控除の対象にはなりません。
①保険者(健保組合、市区町村国保等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
②市区町村が健康増進事業として行う健康診査【歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診、生活保護受給者等を対象とする健康診査】
③予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
④勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
⑤特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
⑥市町村が健康増進事業として実施するがん検診
※市町村が自治体の予算で住民サービスとして実施する健康診査は対象になりません。
◆対象の医薬品
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は、以下のOTC医薬品です。なお、各メーカーの取組により共通識別マークが包装上に表示されています。また、薬局・ドラッグストアにおいて、レシート(領収書)上に対象医薬品であることが明記されています。
①医師によって処方される医療用医薬品から、薬局・ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(いわゆるスイッチOTC医薬品)。
※令和8年1月1日以降、L-アスパラギン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、メコバラミン及びユビデカレノンを有効成分として含有するスイッチOTC医薬品は対象外なります。
②外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、抗ヒスタミン薬又はその他のアレルギー用薬としての効能又は効果を有すると認められるスイッチOTC医薬品以外の一般用医薬品。
※②は令和4年1月1日以降、対象に追加された医薬品です。
◆適用を受けるために必要な書類
確定申告の際、セルフメディケーション税制の適用に関する事項を記載した確定申告書に、購入した対象医薬品に関する明細書を添付して提出します。
※平成29年分の確定申告から、領収書の添付等に代えて、薬局など支払先の名称や医薬品の名称、支払額などを記入した明細書を作成し添付する必要があります。領収書の添付等は不要となりますが確定申告期限等から5年間、税務署から領収書の提示又は提出を求められる場合がありますの
で、領収書は保管しておく必要があります。
【「一定の取組」の証明書類について】
令和3年分の確定申告から、健診や予防接種等の「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類の添付は不要となりました。ただし、領収書と同様に確定申告期限等から5年間は証明書類の提示又は提出を求められる場合がありますので、①氏名、②一定の取組を行った年、③事業を行った保険者、事業者若しくは市町村の名称、又は医療機関の名称若しくは医師の氏名が記載されている領収書や結果通知表を保管しておく必要があります。