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贈与税の課税制度と相続時の生前贈与加算の概要

◆贈与税の課税制度の概要
贈与税の課税方法には、1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算する「暦年課税」と、贈与を受けたときに特別控除額及び一定の税率で贈与税を計算し、贈与者が亡くなったときに累積贈与額を相続財産に加算して相続税を課税する「相続時精算課税」があります。

※相続時精算課税は要件を満たす贈与者から受贈者に対する贈与について選択できる制度です。

◎暦年課税の概要
暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額(複数人から贈与を受けた場合や、同じ人から複数回にわたり贈与を受けた場合には、それらの財産価額の合計額)を基に贈与税額を計算する方式です。
1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額が基礎控除額(110万円)を超える場合に、贈与税の申告が必要となり、基礎控除額を控除した残額に贈与者と受贈者との続柄及び受贈者の年齢に応じて、「一般税率※」又は「特例税率※」のいずれかを適用して贈与税額を計算します。

※「一般税率」は、直系尊属(父母や祖父母など)以外の贈与者から財産の贈与を受けた場合や、受贈者が贈与の年の1月1日において18歳(令和4年3月31日以前の贈与は20歳)未満である場合に適用。

※「特例税率」は、直系尊属である贈与者から財産の贈与を受け、かつ、受贈者が贈与の年の1月1日において18歳(令和4年3月31日以前の贈与は20歳)以上である場合に適用。

◎相続時精算課税の概要
相続時精算課税は、特定の贈与者から贈与を受けた財産について、暦年課税に代えて選択できる制度で、選択した贈与者から贈与を受けた財産の価額の合計額から複数年にわたり利用できる特別控除額(2,500万円)を控除した残額に対して贈与税(一律20%)がかかり、選択した贈与者が亡くなった場合にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額の合計を基に計算した相続税額から、納付した贈与税相当額を控除することで、贈与税・相続税を通じた納税を行う方式です。
贈与者ごとに選択することができますが、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、選択した年分以降全て相続時精算課税が適用され、暦年課税への変更はできません。
また、相続時精算課税を選択した場合には、その財産の価額が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。
なお、相続時精算課税が適用できるのは原則として、次の要件を満たす者に限られます。
*贈与者は、贈与をした年の1月1日において60歳以上の者(父母や祖父母など)であること。
*受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において18歳(令和4年3月31日以前の贈与は20歳)以上で、かつ、贈与を受けた時において贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人又は孫であること。


◆被相続人から生前に取得した暦年課税に係る贈与財産の相続財産への加算
被相続人から相続遺贈相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産がある場合は、その贈与財産の価額(贈与時の価額)を相続税の課税価格に加算することとされています。
相続開始前3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく基礎控除額110万円以下の贈与財産も加算しますが、①贈与税の配偶者控除の特例の適用を受けているまたは受けようとする財産のうち配偶者控除額に相当する金額、②直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち非課税の適用を受けた金額、③直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち非課税の適用を受けた金額、④直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち非課税の適用を受けた金額は、加算する必要はありません。
なお、加算された贈与財産の価額に対応する贈与税額は、相続税の計算上控除されます。

※被相続人から相続や遺贈により財産を取得しなかった人(相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得している人を除く)については、相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産であってもその価額は、相続税の課税価格に加算されません。
【参考】
現在、政府・与党で協議が行われている令和5年度税制改正大綱において、被相続人から取得した暦年課税に係る贈与財産が相続財産に加算される対象期間を現行の「相続開始前3年以内」から「相続開始前7年以内」に拡大する改正案が盛り込まれる見込みです。

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