居住用又は事業用宅地の相続税評価額を減額する「小規模宅地等の特例」
◆小規模宅地等の特例について
相続や遺贈によって取得した被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」)の居住の用又は事業の用に供されていた宅地等のうち、一定の要件を満たす場合は、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、下表に掲げる区分ごとに一定割合を減額します。
相続開始の直前における宅地等の利用区分
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等 貸付事業以外の事業用の宅地等
貸付事業用の宅地等 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等 貸付事業用宅地等に該当する宅地等
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等
要件 限度面積 減額割合
特定事業用宅地等に該当する宅地等 400㎡ 80%
特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%
貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%
被相続人等の貸付事業用の宅地等 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡50%
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 特定居住用宅地等に該当する宅地等330㎡ 80%
◎「特定居住用宅地等」の概要
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等を、被相続人の配偶者や、被相続人と同居していた親族が相続等により取得した場合は、「特定居住用宅地等」に該当し330㎡まで80%減額できます。
同居していない親族が被相続人の居住用宅地等を取得した場合は、①被相続人の配偶者又は同居親族(相続人に限る)がいない、②相続開始前3年以内に自己または自己の配偶者、③親等内の親族、特別関係のある法人が所有する家屋に居住したことがない、3相続開始時に居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがない等の要件を満たすことで特例を適用できます。
なお、「被相続人の居住の用」には、1被相続人が相続開始の直前において介護保険法等に規定する要介護認定等を受けていたこと及び2その被相続人が老人福祉法等に規定する特別養護老人ホーム等に入所等していたことなど一定の事由により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合(被相続人の居住の用に供されなくなった後に、事業の用又は新たに被相続人等以外の人の居住の用に供された場合を除く)を含みます。
◎「特定事業用宅地等」の概要
相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除く)の用に供されていた宅地等を、その事業を引き継ぐなどの要件を満たす被相続人の親族が相続等により取得した場合は、「特定事業用宅地等」に該当し400㎡まで80%減額されます。
なお、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合を除く)は、特定事業用宅地等の範囲から除外されます。
◎「特定同族会社事業用宅地等」の概要
相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人(相続開始直前において被相続人及び被相続人の親族等が発行済株式等を50%超を保有)の事業(貸付事業を除く)の用に供されていた宅地等で、その法人の役員であることなどの要件を満たす被相続人の親族が相続等により取得した場合は「特定同族会社事業用宅地等」に該当し400㎡まで80%減額されます。
◎「貸付事業用宅地等」の概要
相続開始の直前において被相続人等の貸付事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業等)の用に供されていた宅地等を、その事業を引き継ぐなどの要件を満たす被相続人の親族が相続等により取得した場合は、「貸付事業用宅地等」に該当し200㎡まで50%減額されます。
なお、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等(相続開始の日まで3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っていた被相続人等が当該貸付事業の用に供している宅地等は除く)は、貸付事業用宅地等の範囲から除外されます。