閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の概要
政府が新たな経済対策として閣議決定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」には、次のような支援策が盛り込まれています。
※税制措置については、本年末の令和6年度税制改正大綱において検討し、結論を得た上で、次期通常国会に法案を提出する。
◆物価高により厳しい状況にある生活者・事業者への支援
・納税者及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円の定額減税を行う。
・地方公共団体が物価高騰対策として低所得世帯への支援(1世帯当たり3万円を目安)を実施できるように措置された重点支援地方交付金の低所得世帯支援枠を拡大し、1世帯当たり7万円を追加することで、住民税非課税世帯1世帯当たり合計10万円を目安に支援を行う。
・上記の定額減税と住民税非課税世帯への支援の間にある者※に対しても適切な支援を行う。
※①住民税均等割のみ課税される世帯や、定額減税が開始される時期に住民税非課税世帯に該当することが判明する世帯、②低所得世帯のうち世帯人数が多い子育て世帯や、定額減税の恩恵を十分に受けられないと見込まれる所得水準の者。
燃料油価格の激変緩和措置については令和6年4月末まで講じる(出口を見据えられる状況になった場合は補助率を段階的に縮小)。また、電気・ガス料金の激変緩和措置についても、現在の措置を令和6年4月末まで継続し、同年5月に縮小する。
◆中堅・中小企業の賃上げの環境整備
・賃上げ促進税制について、赤字の中小企業等においても賃上げを促進するための繰越控除制度を創設するとともに、措置の期限の在り方などを検討する。
・中小企業・小規模事業者が賃上げの原資を確保できるよう、原材料費・エネルギーコスト上昇分の価格転嫁対策を推進するとともに、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を年内に策定する。指針には、発注者側は受注者側との定期的な協議の場を設けることや、受注者側が準備する根拠資料は、負担とならないよう賃上げに関する公表資料を用いることを盛り込む。
・経営者保証改革を促進するため、保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を前倒しして創設するとともに、3年間の時限的な保証料負担軽減策を講じる。併せて、保証申込手続の電子化を促進する。
◆人手不足対応、生産性向上を通じた賃上げ継続の支援
・人手不足に悩む中小企業のため、省人化・省力化投資に関して、ロボット等の汎用製品をカタログから選択し、簡易に導入できる支援措置を実施する。
・地方においても賃上げが可能となるよう、中堅・中小企業が工場等の拠点を新設する場合や大規模な設備投資を行う場合の支援措置を実施する。
・事業承継税制について、特例承継計画の提出期限の延長等を行う。
◆三位一体の労働市場改革の推進
在職者のリ・スキリングによる能力向上支援について、教育訓練給付の対象に業界団体等が実施する講座を加えるなど拡充するほか、在職中の非正規雇用労働者のリ・スキリング支援を創設する。・職務給の導入について、ジョブの整理・括り方、人材の配置・育成・評価方法、ポスティング制度、賃金制度、労働条件変更と現行法制判例との関係等について事例を整理し、年内又は年度内にとりまとめる。
◆科学技術の振興及びイノベーションの促進
・海外と比べて遜色なく民間による無形資産投資を後押しする観点から、国内で自ら研究開発した特許権等の知的財産から生じる所得に対して優遇するイノベーションボックス税制を創設する。
◆イノベーションを牽引するスタートアップ等の支援
・ストックオプション税制について、年間の権利行使価額の上限額の引上げなど充実させる。
・金融機関が有形資産を持たないスタートアップ等に融資する際に、知的財産・無形資産を含む事業全体を担保にできる事業成長担保権の創設等について、関連法案を早期に提出する。
・株式投資型クラウドファンディングにおける企業の発行総額上限の引上げ、年収等に応じた投資家の投資上限の柔軟化について検討を行う。
・全ての金融債権者の同意を必要とせず、多数決による金融債務の減額を可能にする事業再構築法案を早期に国会に提出する。