死亡保険金を受け取った場合の取扱い
◆死亡保険金の課税関係
被保険者が死亡し、保険金受取人が死亡保険金を受け取った場合には、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税対象になります。
被保険者 | 保険料の負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
A | B | B | 所得税 |
A | A | B | 相続税 |
A | B | C | 贈与税 |
◎所得税が課税される場合
所得税が課税されるのは、上記のように保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合です。死亡保険金を一時金で受領した場合には一時所得として課税されます。また、死亡保険金を年金で受領した場合には公的年金等以外の雑所得として課税されます。
◎相続税が課税される場合
相続税が課税されるのは、上記のように被保険者と保険料の負担者が同一人の場合で、受取人は相続又は遺贈により取得したものとみなされます。
死亡保険金を年金で受領する場合は、その年金を受け取る権利に対して相続税が課税されます。なお、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を年金受給権に相当する非課税部分と、それ以外の課税部分に振り分けた上で計算します。
◎贈与税が課税される場合
贈与税が課税されるのは、上記のように被保険者、保険料の負担者、保険金の受取人がすべて異なる場合です。
死亡保険金を年金で受領する場合には、その年金を受け取る権利に対して贈与税が課税されます。なお、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を年金受給権に相当する非課税部分と、それ以外の課税部分に振り分けた上で計算します。
◆相続税の課税対象となる死亡保険金等の取扱い
◎死亡保険金等に係る非課税限度額
被相続人の死亡によって取得した生命保険金などで、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは相続等により取得したとみなされて相続税の課税対象となります。
この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は除く)である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が非課税限度額【500万円×法定相続人の数※】を超えるときは、その超える部分が相続税の課税対象になります。
各相続人に課税される金額は、各相続人が受け取った保険金から、受け取った保険金の割合に応じた非課税限度額(非課税限度額×その相続人が受け取った保険金の合計額/相続人全員が受け取った保険金の合計額)を差し引いた金額となります。
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。
※法定相続人の数は、相続を放棄をした者も含めた相続人の数をいいます。また、法定相続人に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。
【各相続人に係る課税金額の計算例】
夫の死亡に伴い、妻が4,000万円、子が1,000万円の保険金を受け取ったケース(法定相続人は妻と子の2人)での各人の課税金額の計算は次のようになります。
・妻の非課税限度額は【(500万円×2人)×4,000万円/5,000万円=800万円】となり、課税対象となる金額は【4,000万円800万円=3,200万円】となります。
・子の非課税限度額は(500万円×2人)×1,000万円/5,000万円=200万円】となり、課税対象となる金額は【1,000万円200万円=800万円】となります。
◎契約上の受取人以外の者が保険金を受け取った場合
被相続人が保険料を支払っていた保険金は、相続税法上のみなし相続財産であり、契約上の受取人が相続又は遺贈により取得したとみなされ相続税の課税対象となりますが、本来の相続財産ではないため遺産分割の対象にはなりません。
したがって、契約上の受取人以外の者が保険金を受け取った場合は、その契約上の受取人から贈与により取得したことになります。