電子取引の保存に関する宥和措置Q&A
◆概要
令和4年1月から施行された電子帳簿保存法の改正により、請求書や領収書等をメールで受領する場合やウェブサイトからダウンロードする場合など、電子データで取引情報の授受を行う「電子取引」については、その電子データの出力書面等による保存措置が廃止され、一定要件に従って電子データのまま保存しなければならないこととされましたが、令和4年度税制改正において、その電子データの保存要件への対応が困難な事業者の実情に配意し、引き続きその出力書面等による保存を可能とするための宥和措置が講じられています。
◆Q&A
Q.宥恕措置の具体的な内容は?
A.電子取引の取引情報に係る電子データの保存に関する当面の宥恕措置として、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、その電子取引の取引情報に係る電子データを保存要件に従って保存をすることができなかったことについて、納税地等の所轄税務署長がやむを得ない事情があると認め、かつ、その保存義務者が税務調査等の際にその電子データの出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず電子データの保存が可能となり、また、その電子データの保存に代えてその電子データを出力することにより作成した書面等による保存をすることも認められます。
この宥恕措置を踏まえ、令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データを書面に出力して保存し、税務調査等の際に提示又は提出ができるようにしておけば問題ありません。
Q.「やむを得ない事情」とは?
A.令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に行う電子取引について、保存に係るシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等のように、要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難な事情等が該当します。
Q.「整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている」とは、具体的にどのような対応が求められる?
A.宥恕措置における「整然とした形式及び明瞭な状態で出力された書面」とは、書面により作成された場合に準じた規則性を有する形式で出力され、かつ、出力された文字を容易に識別することができる状態をいいます。
その電子データを出力することにより作成した書面を税務調査等の際に、税務職員の求めに応じて提示又は提出をする必要があります。
なお、施行前(令和4年1月1日前)において、電子取引の取引情報に係る電子データを出力することにより作成した書面については、その取引情報の受領が書面により行われたとした場合又はその取引情報の送付が書面により行われ、その写しが作成されたとした場合に、国税に関する法律の規定により、その書面を保存すべきこととなる場所に、その書面を保存すべきこととなる期間、保存を行うこととされており、宥恕措置により税務調査等の際に、税務職員の求めに応じて提示又は提出をしていただく必要がある書面についても、税務調査等が行われうる期間、適正な場所で保存を行う必要があります。
Q.宥恕措置の取扱いを受ける場合、事前に税務署への申請等は必要?
A.やむを得ない事情の有無や出力された書面については、必要に応じて税務調査等の際に確認することとしており、事前に税務署への申請等をすることは必要ありません。
なお、税務調査等の際に、税務職員からやむを得ない事情の確認等があった場合には、各事業者における対応状況や今後の見通しなどを、具体的でなくてもいいので適宜知らせば差し支えないとしています。
Q.令和6年1月1日以後は、出力書面等による保存は認められない?
A.宥恕措置の取扱いは令和5年12月31日までと期間を区切って認められているものであることから、令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については、出力した書面等による保存は認められません。そのため、要件に従った電子データの保存ができるように準備が必要です。