「扶養控除」の概要とQ&A
◆概要
納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。
控除対象扶養親族とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の①~④の要件のすべてを満たす扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の方をいいます。
①配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
②納税者と生計を一にしていること。③年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること※。
※所得が給与所得だけの場合は、給与収入が103万円以下であること。
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
【控除額】
控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により次のとおりです。
〇一般の控除対象扶養親族→控除額38万円
〇特定扶養親族※1→控除額63万円
〇老人扶養親族※2
・同居老親等※3→控除額58万円
・同居老親等以外の者→控除額48万円
※1控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の方。
※2控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の方。
※3老人扶養親族のうち、納税者や配偶者の直系尊属(父母、祖父母等)で同居を常としている方。なお、「同居」については、病気の治療のため入院していることにより別居している場合は、同居に該当するものとして取り扱われます。ただし、老人ホーム等へ入所している場合は該当しません。
◆Q&A
Q.国内で離れて暮らす親族を控除対象扶養親族としてもよい?
A.別居している親族であっても扶養控除の対象とすることは可能です。「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではないため、例えば、修学や療養等の都合上別居している場合でも、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合などは「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
Q.日本国外に住む親族に係る扶養控除の適用を受ける場合は手続が必要?
A.確定申告や年末調整において、非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の適用を受ける場合は、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を提出等する必要があります。
※令和5年1月から、30歳以上70歳未満の国外居住親族は、1留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者、2障害者、3居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者、のいずれかに該当する場合に限り、扶養控除の対象となります。
Q.扶養親族の判定上、遺族年金はどのように取り扱われる?
A.扶養親族などに該当するかどうかを判定する場合の合計所得金額には、所得税法やその他の法令の規定によって非課税とされる所得は含まれないことになっています。したがって、非課税所得である遺族年金は含めずに扶養親族の判定をすることになります
Q.共働き世帯で扶養親族に該当する子がいる場合、扶養控除の適用は夫婦双方が受けられる?
A.一人の者を対象として複数の納税者がそれぞれ重複して配偶者控除や扶養控除を受けることはできないため、夫婦のいずれか1人が適用を受けることができます。
Q.年の中途で死亡した父親の控除対象配偶者となっていた母親は扶養控除の対象になる?
A.年の途中で死亡又は出国した納税者の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族に該当した人であっても、その後、その年中において相続人等他の納税者の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族に該当する場合は、その納税者の控除対象配偶者又は控除対象扶養親族として控除の対象となることができます。したがって、扶養控除の対象となります。