中小企業経営塾 第56号
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■ 目次
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
▼掲示板
▼タックスペイヤーの視点20 税理士・FP 榎本 恵一
▼超入門・ビジネス会計番外編 中小企業診断士 駒井 伸俊
▼実感のない日本経済の回復(2) MBA 長友 孝幸
▼労働者に職業訓練等を受講させた事業主の方等への給付金 AFP 小林 義和
▼早いもので、今年も一年終わってしまいます 落語家 三遊亭金時
▼編集後記 副編集長 小林 義和
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■ 掲示板
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
歳時記
12月22日 冬至
12月23日 天皇誕生日
12月25日 クリスマス
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■ タックスペイヤーの視点20 税理士・FP 榎本 恵一
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
既に、暦の上では2003年の準備を始めていますが、気持ちの上では何となく新
しい年を迎えようとしていても晴れやかな気持ちになれません。やはり、先が
見えない不安心理のせいでしょう。皆さんから、来年はどうなりますかね、と
よく聞かれましたが、当たらないのが予想(今頃書店に2003年を大胆予想なる
本が平積みされています。私も、毎年1~2冊は買ってこの時期に検証してい
ますが、3割当たって上等でしょう)。とにかく、前を見て、自社の問題を先
延ばしにせず、解決策を実行することしかありません。先延ばしをしていても、
政府と同じジレンマに陥りやすいですから。
さて、先週末に与党が決定した2003年度の税制改正大綱をご覧になった方は多
いはずです。恐らく、一番の関心事は、配偶者特別控除の廃止ではないでしょ
うか。この問題は弊社主催のセミナーで、全体像を含め賢いライフプラン設計
を実施していますので、是非とも参考にして頂きたいと思います(参加希望者
が多数の為、来年度も実施予定です)。
・税制改正~税金の還付のしくみを知るセミナー
https://www.ecg.co.jp/ecgclub/seminar.htm?mm=56
更に、たばこ、発泡酒やワインの増税が明記されており、庶民の生活において
は、辛そうな感が否めません。生前贈与2,500万円(2005年末までの住宅資金
3,500万円の非課税枠)は考えものです。65歳以上の親が20歳以上の子に対し生
前に贈与することで、親の死亡時に支払う相続税額から差し引ける新制度です
が、この制度を利用する場合には、税務署に届けでなければなりません。現行
の110万円の贈与であれば、翌年の確定申告時期に超過分を申告納付すればOK
です。国は、先に述べた証券税制にしても、この贈与と相続を一体的に精算す
る仕組みと現行の制度も残しているため、納税者は選択適用が出来ます。但し、
将来の見通しがないままである事で、自己責任と言えどもどのように行動した
らいいのか分からない点に問題が大きく内在しています。
今号では、色々と改正大綱が多いことからスポットライトが余り当たっていな
い消費税の改正に関して検討してみたいと思います(今回は、ポイントだけを
簡易に書きますのでご容赦ください)。
・【論点として皆さんが知っている点】
消費税の問題点は、数多くありますが今回は下記の2点を取り上げます。
本来消費税は、薄く、広く課税することが原則でしたが、下記の問題点が存在
することにより、本来の趣旨が活かされていません。
1.益税問題(免税事業者が多くいることで納めた税金が国に納入されないこ
と)
簡易課税制度(現行2億円以下の事業者が採用できる簡易な制度)
《改正大綱:上限を5千万に引き下げる。》
事業者免税点制度(現行前前年の売上高が3千万円)
《改正大綱:適用上限を1千万円に引き下げる。》
2.滞納問題
特に、事業者が預り金的性格である消費税を資金繰りにまわしている事で、滞
納税目の一番になっています。
《改正大綱:新たに1月ごとの課税期間の特例を設けるとされています。》
私見ですが、これにより、選択性ですが源泉税みたいになるのではと思います。
・【論点として皆さんに是非考えて欲しい点】
今回あまり注目されていませんが、上記の問題は、消費税は、転嫁して支払う
性格であり、その基準金額が変わること(結構大変な方も多いと思いますが)
ですが、改正大綱では、2004年4月1日より内税表記を義務付けています。つ
まり、商品の販売や役務の提供などの取引を行う場合、その取引価格を表示す
る場合、その商品や役務に係る消費税の額を含めた総額を明らかにすることで
す。消費税は、平成元年4月に導入されたわけですが、その時、内税にするか
外税にするか、業界団体でも問題になった記憶があります。結果、レジで最後
に消費税を掛ける外税方式が主流になりました。その間色々と問題はありまし
たが、消費税を値下げします、とか消費税は取りません、などのセールストー
クが横行したのも事実です。本来は、消費税相当額(結局5%のこと)は値下
げしますなどのトークが正論なのです。あたかも、消費税を取っていないよう
な形は、消費者に消費税法の転嫁する趣旨を曲げかねないからでしょうから。
また、将来消費税の税率を値上げしたり、複数の税率を導入する為の布石なの
でしょうか。いずれにしても、まだ、改正大綱ですが、既に十数年定着した外
税方式からの転換をしなければならないとしたら、商売の形態を考えなければ
ならない大問題です。皆さんはどのように考えますか。
それにしても、小手先とも思える今回の税制大綱は、二転三転しての発表をみ
てもこの国の痛みぐわいがよく分かります。今後、与野党別にして、世代間別
の今後の税制と国の財政をオープンに論議し国民に信を問うべきではないでしょ
うか。
榎本会計事務所
https://www.ecg.co.jp/about.htm?mm=56
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■ 超入門・ビジネス会計番外編 中小企業診断士 駒井 伸俊
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
今回、駒井先生のコーナーは諸般の事情により休載とさせていただきます。
代稿として、経営のヒント「暗黙の誤解」をお届けします。
次回掲載をお楽しみに。