第295号 意思表示の重要性(民法deコミュニケーション)
┏╋━ 知って得する経営塾 ━━━━━━━━ 第295号 2011年06月27日 ━
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■□■ 目次 ■□■
民法deコミュニケーション 1
-意思表示の重要性- 行政書士 伊地知 克哉
編集後記 副編集長 秋葉 和彦
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民法deコミュニケーション 1
-意思表示の重要性- 行政書士 伊地知 克哉
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今月からレギュラー執筆陣に加わりました、行政書士の伊地知です。
この名前「あれ、中小企業診断士じゃないの?」と気づかれた方は鋭いです!
これまでも不定期に当メルマガに原稿を書いたことはあります。
この4月に行政書士登録したのを記念して?これまでとは異なる視点から執筆
して参ります。
ということで、ここ数年、企業研修などでもニーズの高い「コミュニケーショ
ン」について書こうと思います。
その題材として、予防法務という視点から法律問題を扱っていこうと思います。
理由は簡単です。法律問題の多くは、感情のもつれ、つまりコミュニケーショ
ンの問題であるからです。
「ああ言ったじゃないか」「いや、こう言ったはずだ」などの水かけ論はよく
ある話です。お互いの認識にズレがあったために起こるのです。
コミュニケーションというのは受け手の行為ですから、自分の言動を相手がど
のように感じたのかに気が付かないと「ああ言えば」「こう言う」という言い
争いになるのです。
このコミュニケーション・ギャップを埋めるための秘訣は、自分が不快に感じ
ているのは相手の発言や行動そのものではないと内省することです。誰も相手
とケンカしようとか不快にさせようと思ってコミュニケーションをする人はい
ないはずです。
離婚の理由が「性格の不一致」というのも、まさにコミュニケーションそのも
のの問題ですし、遺産分割で相続人が揉めるのも、それまでの家族関係の問題
が多いものです。
過去において許せないと思い込むほどの相手の行動や発言があったのでしょう。
さて、そろそろ本題に入りましょう。
法律を知らないという方でも「契約は意思表示だけで成立する」ということは
知っていると思います。意思表示、ほらコミュニケーションです。
コンビニでお弁当を買う際に、「じゃあ、焼き肉弁当を買いたいから、契約書
を取り交わそう」「なら、こちらが当店の契約書のドラフト(雛型)です」
なんてやり取りはしません。
にもかかわらず、アパートを借りるにあたって不動産屋さんから「こちらが契
約書です」と書面が出てくることには何の抵抗も感じないで署名押印している
はずです。
このように、契約書を交わすか交わさないかが必ずしも契約成立の要件という
わけではなく、当事者同士でどのような契約内容を実現したいかという意思の
合意が大切なのです。
さて、意思表示の中には「遺言」があります。こちらは、民法で定められた様
式にしたがってなされないと法的な効果が生じません。
この遺言、日常的な売買契約や不動産の賃貸借契約と決定的に異なるところが
あります。それは、遺言者の意思表示の効果が、死後に生じるという点です。
つまり、相続人は遺言内容に何か言おうにも相手がいないという水かけ論すら
できない状態です。
そもそも遺言は、生前に保有していた遺言者の財産を、本人の自由意思で処分
することについての宣言文のようなものです。
しかし、本人の自由意思のみを尊重したのでは、残された遺族が困ることもあ
ります。遺族の生活保障という視点からです。
中小企業においては、オーナー経営者が持ち株の大半を保有したまま亡くなり、
その後の遺産分割で後継者の地位が危うくなるというリスクがあります。
たとえば、全ての株式(1,800株)のうち
オーナーが1,200株(3分の2)
後継者である長男が600株(3分の1)を保有していたとします。
長女と次女はお嫁に行って経営に関与していません。
推定相続人はこの3人で、遺言がないままオーナーが亡くなると法定相続にな
ります。オーナーとしては「400株ずつを子供3人で相続するから、長男は
既に持っている分と合わせて1,000株で過半数以上を確保できる」と思っ
てしまいがちです。
しかし、後継者である長男は過半数の株式を保有できません。株式の相続は3
人の共有財産になります。
そして、議決権行使者は共有者の持分価格の過半数で決めることになりますか
ら、長女と次女が結託して1,200株の議決権行使者を長女にしてしまうと、
長男は相続前と同じ600株分しか議決権を行使できなくなります。
困った長男に長女と次女は「それが嫌なら会社で買い取って頂戴」と言ってく
るかもしれません。会社に買い取れるお金があれば問題ないのですが、無い場
合は第三者に過半数以上の株式が移転してしまうことにもなりかねません。
日頃から家族間でコミュニケーションがとれていれば、こうした問題が生じな
いようにオーナーも生前に対策ができたはずです。また相続が開始されても姉
妹は意地悪をしないでしょう。
相続はどんな企業にもいずれ起こることがわかっている経営問題の一つです。
平成18年5月に施行された会社法は、こうしたケースを解決する上でも大変
便利な法律に改正されています。
なぜなら、「会社法の最大のユーザーは中小企業」を想定して作られているか
らです。その活用法については、いずれ書いていきます。
◆◇◆ 行政書士・中小企業診断士 伊地知 克哉 プロフィール ◆◇◆
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編集後記 副編集長 秋葉 和彦
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いつも当メールマガジンをご愛読頂きまして誠にありがとうございます。
今回から伊地知克哉先生にレギュラー執筆陣に加わって頂きました。行政書士
として民法を絡めたコミュニケーションをテーマに執筆されています。
先生はこれまでも中小企業診断士として、多くの中小企業とかかわっていらっ
しゃったので、行政書士といってもまた違った視点でみなさんに身近な情報を
提供していけると思います。
もうすぐ7月、今年は特に暑くなってくるでしょう。
みなさん、体調を崩されないようお気をつけ下さい。
次号第296号は、7月4日(月)に配信の予定です。お楽しみに!
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