第299号 コンプライアンス経営(民法deコミュニケーション)
┏╋━ 知って得する経営塾 ━━━━━━━━ 第299号 2011年07月27日 ━
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■□■ 目次 ■□■
民法deコミュニケーション2
-コンプライアンス経営- 行政書士 伊地知 克哉
編集後記 副編集長 秋葉 和彦
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民法deコミュニケーション2
-コンプライアンス経営- 行政書士 伊地知 克哉
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通信販売などにおいて、注文した商品とは異なる物が届くことがあります。
顧客は業者に電話します。その第一声は業者によって異なりますが、
以下の会話文で考えてみましょう。
会話例1
「注文した商品と違うものが送られてきたんだけど」
「まずは、お客様の注文内容を確認致しますので、
お名前、ご住所、注文された商品名、注文日を教えてください」
会話例2
「注文した商品と違うものが送られてきたんだけど」
「こちらはカスタマーセンターですので、担当の者におつなぎします。
少々お待ち下さい」
会話例3
「注文した商品と違うものが送られてきたんだけど」
「申し訳ございません。こちらの手違えがあったようですね」
会話例4
「注文した商品と違うものが送られてきたんだけど」
「では、着払いで送り返して下さい」
四つの対応のうち、適切と思われるものはどれでしょうか?
コミュニケーションのあり方という点では、1が適切と言えます。
2も悪くはありませんが、顧客としてはカスタマーセンターに電話がつながっ
た瞬間に自分の主張を聞いてもらえると無意識に期待している場合、その期待
を裏切られたと思われることになります。
結果、怒りが増幅する可能性があります。
3は事実関係を確認しないうちから「こちらの手違え」とミスを認めている点
が適切ではありません。顧客の勘違いかもしれません(後述)。
4は論外です。
コミュニケーションをしようという感情・意思が伝わってきません。
では、1~4いずれの対応にしても
より適切なオペレーションはどうあるべきか。
契約は「申込」と「承諾」という意思表示の一致だけで原則成立します。
問題が生じたのは、契約の成立過程か、
契約成立後の義務履行(商品引渡:発送)でしょう。
発送ミスは、注文段階と発送段階とに分けて考えるべきでしょう。注文段階に
おいて電話オペレーターが注文伝票の記載を間違えたのかもしれませんし、
WEBサイトに顧客が商品名を入力ミスしたのかもしれません。
顧客の入力ミスの場合、会話例3の対応が不適切であることは明確です。
ただ、その場合でも「あなたが商品Aと入力されたから、こちらはその商品を
発送したんです」のような応対をしたら、もう最悪です。人は誰しも間違いを
するものです。
発送段階においては、発送を担当する人が、注文伝票を見間違えたことが考え
られます。また商品を倉庫から取り間違えたのかもしれません。
民法では、意思表示が不健全であると契約は無効と判定され、意思表示に問題
があると契約を取り消すことができると規定されています。
このケースでは、意思表示は不健全ではありませんし、問題があったとは考え
にくいものです。つまり、契約は有効に成立しています。でも、商品は間違っ
て発送されたのですから、債務不履行という契約の有効性(効力)が問題なの
です。
顧客は、契約が成立して債権者(商品引渡請求権)として自分の主張をしてい
ます。通常、顧客はこの法律的な意味を意識していないし、理解していないか
もしれません。
業者にとってクレームは嫌なことでしょうが、顧客にとってもクレームを言う
のは好ましいことであるはずがありません。だとするならば、クレームを言わ
なくてすむように顧客も法律を学ぶべきです(だから、詐欺など悪徳商法に付
け込まれるのです)。
このように顧客が「注文した商品と違うものが送られてきたんだけど」と言え
るのは、契約が成立して債権(商品引渡請求権)が発生しているからです。
これは裏返せば、業者の商品引渡義務を全うせよという主張でもあります。
法律論的には、業者は何ら嫌悪感を負うことなく、キチンと義務を負えば良い
だけなのです。
要するに誰が悪いかではなく、何が正しいかを明確にするべきです。
そうすれば、怒りや恐れの感情は生じません。
そう考えればクレームは恐くなくなります。なぜなら、クレームが恐いと感じ
るのは、クレームが発生することを前提に考えているからです。
クレームは業者の主体的な行動で回避できるのです。
コミュニケーションの目的は、「相手から自分の望む反応を得ること」です。
顧客は「注文した商品を届けて欲しい」のであり、業者は「顧客の満足」を望
んでいるはずです。
でも、感情が法律論を封じ込め、「ヤバイ、クレームだ、どうしよう、上司に
怒られる」などとパニックになるのです。したがって、クレーム対策の第一歩
は、コミュニケーション力を高めることなのです。
だとしたら、会話例2のようなオペレーションをどのように改善すればよいか
は明確です。にもかかわらず、「自分には責任はない」という反応をして電話
をたらいまわしにする。そうなると顧客の怒りは頂点に達し、やがて「損害賠
償だ。訴えてやる」という事態になりかねません。
そこまでいかなくても、ネットの書き込みなどで会社イメージがダウンという
リスクも考えられます(実際過去にありました)。
会話例3も、オペレーションそのものを改善する必要があります。そうしない
と電話応対している人に精神的なストレスがたまり長続きしないでしょう。
最悪のケースは自殺し、遺族から慰謝料請求訴訟というリスクも考えられます。
会話例4は、現実にはあまりないと思われます。
クレームをなくすためには、単に法律知識を社員に学ばせて「コンプライアン
ス経営やってます」と宣言してもダメです。
法律知識の前に、健全なコミュニケーション(社会規範)について学び、
コミュニケーション力を高め、そこから社内コミュニケーションで業務改善を
意思決定する。これこそが、真のコンプライアンス経営というものです。
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* 法律とは、国家権力による強制力を伴う社会規範である。
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編集後記 副編集長 秋葉 和彦
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いつも当メールマガジンをご愛読頂きまして誠にありがとうございます。
今回配信が遅れ、楽しみにお待ち頂いていたのに申し訳ありません
ただ、遅くなった事で結果的に皆さんに2つのお知らせをする事ができました
1つは、今回ご担当の伊地知先生による「駅前経営塾」の開催のお知らせです
法律の話ってどうも難しい・堅いというイメージがありますが、小説を使って
楽しく学べるというスタイルで行ないます。
ご参加費も安めに設定させて頂きましたので、お気軽にご参加頂けるのではな
いかと思います。
2つ目は、前回登場していただいた弁護士の谷原先生と次回登場予定の税理士
の榎本との対談でお送りしているインターネットラジオ更新のお知らせです
皆さんの身近な乗り物・自転車ですが、意外に知らず知らずのうちに皆さん怖
い事をしているのです。是非聴いておいた方が良いと思います
いずれも詳細は、トップのお知らせからご確認下さい!
次回は記念すべき第300号、8月1日(月)に配信予定です。お楽しみに!
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