知って得する経営塾 第516号『リーダーの資質とは』
★☆★ 既刊情報 ★☆★
実践 ワーク・ライフ・ハピネス2 成功する会社は仕事が楽しい!
企業の成功の秘訣は
“頑張る"から“楽しい"へ!
成功する企業と成功しない企業とでは何が違うのでしょうか。
それは社員が“楽しく"仕事をしているかどうかの違いです。
会社は、これまでは“頑張る"ところでした。
しかし、今は違います。今は、頑張るより楽しく仕事をするほうが
業績も上がることがわかってきました。
働くことが楽しいと思える会社には「ハピネス」があります。
ハピネスがある会社は成長するのです。
本書は、ハピネスな五社の事例を取り上げながら、
その成功ポイントを明らかにしました。
業績不振に悩む経営者や管理者、
働くことに意義を見出せない若い人たちの必読の書です。
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リーダーの資質とは ビジネス・プロデューサー 鈴木 領一
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とある国家プロジェクトのキックオフ・シンポジウムに参加した時のことで
ある。このシンポジウムで、生涯忘れない出来事を目撃した。
このプロジェクトは政府の肝いりで、予算も数百億円規模のものだ。
バイオ関連の大型事業で、これが成功すれば、あらゆる産業が多大な恩恵を
受けるため、各方面からトップの研究者が参画している。
キックオフ・シンポジウムでは、政府の関係者、ノーベル賞級の学者、著名な
経営者、有名大学の高名な教授など、そうそうたるメンバーがプレゼンを行っ
た。
3時間のシンポジウムの最後に、プロジェクトリーダーから今後の計画が発表
された。今後4年間で世界初の画期的な手法を開発するという。
現段階では未知の技術のため、具体的な手法も確立されていないので、国内の
一流の学者や研究者の力を借りながら試行錯誤して完成させ、4年後には日本
がバイオの世界で世界をリードしていくという壮大な内容だった。
シンポジウムの最後で質疑応答の時間があり、300名の参加者(ほとんどが国内
外の学者)から、様々な専門的な質問があがった。
「大変素晴らしい発表をありがとうございます。……」という、お決まりの
枕詞から始まる質問に次々に答えるプロジェクトリーダー。
質問時間の最後に、プロジェクトリーダーから提案があった。
「今回は高校生の参加者がいらっしゃいますので、高校生からも質問をいただ
けますか?」
会場には招待客として高校生のグループが参加していた。未来の日本を担う
若者達に、大きな夢を見せたいという配慮だったのだろう。
今回のシンポジウムは専門性の高い発表内容ばかりだったの3時間もよく聴いて
いたものだ、と感心していたら、一人の女子高生が力強く挙手をした。
女子高生にマイクが渡された。
会場の大人達は、固唾をのんで彼女の質問に注目した。
「今回のプロジェクトは、どうやったらできるのか今は分からない、というこ
とでしたが、なぜ4年という期間や数百億円という予算を決めることができる
のですか?」
この質問に、大人達は苦笑の混じりの感嘆の声をあげ、今回のシンポジウムで
最大の拍手が起こった。一流の研究者達が発表したプレゼンよりはるかに大き
な拍手だ。
この女子高生の質問は、まことに純粋な質問であり、大人達は『大人の約束』
として絶対に聞かない、いや聞けない質問である。
プロジェクトリーダーは頭をかきながら「大変鋭い質問です」と苦悩しつつ、
あれこれ理屈を並べながら答えていた。
女子高生は場の雰囲気を察したのか、「分かりました」と答えて着席した。
おそらく納得はしていなかっただろう。
このシンポジウムは極めて専門性の高い内容で、筆者もさすがに退屈してしま
い「参加しなくても良かったかな」と思っていたが、女子高生の鋭い質問を聞
くことができて、参加して良かったとつくづく思った。
この女子高生の質問から、2つのことを学ぶことができたからだ。
一つは、純粋な質問にこそ、物事の本質があるということ。
もう一つは、未知のものに挑戦する「夢」に対し、リーダーは、毅然とした
態度で責任を持って可能性を語らなければならない、ということだ。
女子高生には、「夢のようなことをどうやって実現できるの?答えのないもの
をどうやって見つけるの?」という無垢な興味もあっただろう。答えのある
学校教育では想像もできない世界である。
答えのない世界で答えを出すことによって人類は進歩してきた、という事実を
知る絶好のチャンスだった。
しかし、プロジェクトリーダーは、それを表現することができなかった。
“言葉によるごまかし”をしてしまった。
女子高生は落胆したに違いない。
大人でも「このプロジェクトは、そもそも予算ありきの政府プロジェクトなの
か」と勘ぐりたくもなる答え方だった。
どんな組織のリーダーであっても、「夢」を語り、可能性を示さなくては、
人はついていかない。国家プロジェクトだからと言って、強いリーダーがいな
くても成功が確約されるわけではない。予算ありきのプロジェクトになれば、
どこぞの新国立競技場のようなことが起こりかねない。
これは会社組織でも同じである。
売上げ目標ありきの経営を行えば、人は疲弊し、ひいては数字のごまかしに
発展しかねない。東芝の『不適切会計』の例を見るまでもなく。
人は数字で動くのではなく、「夢」や「可能性」に対して動こうとするもので
ある。そうして未知の答えを発見し、発展していくものである。
そこを見失ってはいけない。
今の日本には、本末転倒してしまった組織が多すぎる。
シンポジウムで見つけた唯一の希望は、そうそうたる“偉い”大人達を前にし
て、勇気を持って本質的な質問を投げかけた女子高生だった。
まだこの国には可能性が残っている、そう思わせてくれた出来事だった。
●鈴木領一(すずき・りょういち)
ビジネス・コーチ。ビジネス・プロデューサー。
自己啓発のレジェントであるナポレオン・ヒルが所属した「サクセスマガジン
社」の能力開発プログラムの企画開発責任者を務めた唯一の日本人。
さらに進化させた自己改革メソッド「フレーム・1%アクション」は
劇的な変化をもたらすメソッドとして今最も注目されている。
氏のコーチングを受けたことで、無職状態からEXILEとの共演を達成した
ケースや、起業して成功し新聞やテレビに取り上げられたケースなど、数多く
の成功者を次々に輩出している。近著に『100の結果を引き寄せる1%アク
ション』(サイゾー)がある。
※この原稿は、ビジネスジャーナルより鈴木領一氏の許可を得て
転載いたしました。
URL: http://biz-journal.jp/2015/11/post_12419.html
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編集後記 副編集長 塩田 剛也
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いつも当メールマガジンをご愛読頂きまして誠にありがとうございます。
女子高生の質問、とてもおもしろいですね。
大人になってしまうと無意識のうちに考えるのを避けてしまう内容でした。
自分が発表者の方と同じ立場だったとしたら、
やはり答えに窮すると思います。
理屈を並べてごまかしてしまうでしょう。
振り返ってみると、学生時代のアルバイトでも就職先でも、
業績を伸ばしているところには強いリーダーがいました。
組織がまとまっていて、皆が同じ方向を向いています。
逆に、目先の数字を追っていたり、ごまかしに手を出している人は
良い評判を聞きませんでした。
本当に周りの人はよく見ているんだなと思います。
色々なしがらみであったり、大人の事情と言われるものであったり、
毅然とした態度で臨むには障害が多く難しいのかもしれません。
だからこそ、それができるリーダーには人が付いていくのでしょうね。
次号、第517号は12月14日(月)に配信予定です。
どうぞお楽しみに!
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