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知って得する経営塾 第538号『ダメ企業が細かい「科学的ルール化」で驚異的好業績&離職者激減』

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ダメ企業が細かい「科学的ルール化」で驚異的好業績&離職者激減 
                ビジネス・プロデューサー 鈴木 領一
 
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あなたは、「ルールの多い会社」と「ルールが少ない会社」があったら、どちらを選ぶだろう。
 
多くの人は、ルールが少ない会社を選ぶだろう。
 
ルールが少なければ自由が多く、自分がやりたかったことを伸び伸びとできると思うからだ。
 
 
 最近注目されるIT企業の多くには自由な雰囲気があり、
 
ルールに縛られないことこそ成果を生み出せるように感じるだろう。
 
逆に、いわゆるブラック企業と呼ばれる会社のイメージは、
 
理不尽なルールにがんじがらめになっているというものだろう。
 
 
 
 しかし、そのような思い込みを完全に覆している会社がある。
 
再生可能エネルギー(太陽光発電)を普及する、株式会社アースコムだ。
 
 
 売り上げは33億円超で、前年比はなんと332%、4期連続増収増益の超優良企業である。
 
太陽光発電を普及する会社としては、全国でトップレベルだ。
 
また、埼玉県の「経営革新計画承認企業」「多様な働き方実践企業」としても認定されている。
 
 
 
 アベノミクスの効果が不透明で、売り上げを維持するのにも汲々としている会社が多いなか、
 
驚異的な売り上げの伸びを示しているアースコムの秘密は何か。
 
実は、それこそルールをベースとした科学的仕組みづくりにあるのだ。
 
 
 
 筆者は、埼玉県越谷市にある本社を訪れて取材を行った
 
駅から離れた静かな住宅街の一角に静かに構えられており、
 
毎年倍々ゲームで伸びている勢いのある会社というイメージとは異なり、
 
派手な印象を持たないどちらかというと地味な社屋だ。
 
 
 
 余談だが、急成長した会社が急に社屋や社内の家具などを派手にすると、
 
その後あっという間に転落していった事例を筆者は何社も見ている。アースコムは、まったくその逆だ。
 
 
 
 玄関から一歩社内に入ると、「いらっしゃいませ!」という社員の元気な声で迎えられる。
 
しかも全員(社員20名パート含む)が起立して笑顔である。
 
訪問の最初から清々しい気持ちにさせてくれる。玄関入り口からは社内全部が見渡せる。
 
社長をはじめ社員全員の働いている様子が、なんと入り口を入ってすべて見えるのだ。
 
このような会社のつくりには、なかなか出合うことがない。
 
このようなレイアウトにしたのは、隠し事がなく誠実に仕事をしている姿をお客様に見ていただくためだという。
 
 
 
 筆者は多くの企業を取材で訪れているが、伸びる企業にはひとつの共通点がある。
 
それは、社内に漂う雰囲気の良さである。
 
伸びる会社は、社内の雰囲気が明るく、なんともいえない清涼感が漂っている。
 
社内の備品や家具、資料や文具に至るまで整理整頓され、
 
清涼感と統一感があるのだ。アースコムには、まさにそれがあった。
 
 
 
◆成長企業の異色な「ルール」
 
 
 
 筆者を出迎えてアースコムの秘密を語ってくれたのは、副社長の丸林綾子氏だ。
 
 
 
 副社長が最初に見せてくれたのが、社内の壁に貼ってある「掃除の作業分担表」だった。
 
壁にはほかにも事業計画表や売上計画表などが所狭しと貼ってある。
 
そのなかから真っ先に紹介されたのが「掃除の作業分担表」であったのには驚いた。
 
 
 
 しかし、そこにこそアースコムの急成長してきた理由がある。
 
「掃除の作業分担表」には、掃除場所としてトイレや床はもちろん、
 
PCや蛍光灯、社用車の掃除まで事細かく細分化され、担当者も定期的に振り分けられていた。
 
しかも、全員でできているかどうかの相互チェックを行っているようだった。
 
 
 
 ここまで事細かなルールがあれば、さぞや社員もやりにくいだろうと思ったが、
 
分担表の前で相互チェックしている社員たちの顔は実にイキイキとしているのだ。
 
このギャップに、筆者はすぐに「この会社にはほかの会社にない何かがある」と感じた。
 
 
 
 次に副社長が見せてくれたのが、社員のデスク上のスタンドすべてに、
 
見えやすいように置かれている「プロファイルシート」だった。
 
社員それぞれの特性を科学的に分析し、思考と行動のスタイルに
 
どのような傾向があるかをグラフでわかりやすくしたものである。
 
社員が分析型なのか社交型なのかといった特性が一目でわかるようにしている。
 
 
 
「これを見れば、コミュニケーションが円滑に進むようになるのです。
 
たとえば、分析型ならばロジックで話すとわかりやすくなり、
 
社交型ならば感情を含んで話せばいいことがわかります。
 
社員全員がお互いに特性を理解していますから、同じ情報を伝えるときでも、
 
各々が工夫をするようになります」(丸林副社長)
 
 
 
 社員の特性をプロファイリングする会社はあるが、ほとんどの場合が参考程度で終わらせ、
 
現場で常時活用している事例はまれだ。
 
しかし、アースコムでは愚直なまでに徹底的に現場で実践活用し、そして結果を出していた。
 
 
 
◆多くのルールでストレスを軽減?
 
 
 
 そのほか、壁に貼られた事業部ごとのミッションや役割分担表など、実に多くの書類をみせてもらった。
 
その共通点は、どのような業務でも、今すぐに実践できるレベルまで細分化し、
 
誰が責任を持っているかを明確化し、しかも結果を社員全員でチェックする仕組みであった。
 
 
 
先に述べたように、作業が細分化され、その結果をフィードバックするためのルールが
 
増えれば増えるほど窮屈になり、社員にストレスがかかっていくのではないかと思うのが普通だろう。
 
しかし、まったく逆であることを副社長は教えてくれた。
 
 
 
「弊社には、普通の会社よりもルールが多いと思います。
 
しかし、それは社員の余計なストレスを減らすためなのです。
 
ルールがあれば、何をやればいいのか、何をしなくてもいいのかがわかります。
 
ストレスは、何をやればいいのかわからないということから生じるのです」
 
 
 
 なるほど、理屈ではわかる。
 
しかし本当にそうなのだろうか。筆者が疑問に思っていると、
 
丸林副社長が採用担当の清水豊和氏を呼び止め、
 
「清水さん、昨日遅刻したでしょう。どう思った?」と質問した。すると驚くべき答えが返ってきた。
 
 
 
清水豊和氏(採用担当)
「はい。遅刻してスッキリしました」(清水氏)
 
 
 一体どういうことだろう、と筆者は清水氏に「なぜスッキリしたのですか?」と質問してみた。
 
すると意外な答えが返ってきた。
 
 
 
「以前勤めていた会社では、遅刻すると叱責されるのでプレッシャーでストレスが多かったのですが、
 
アースコムでは『遅刻したら一日一善』というシンプルなルールがあり、誰も遅刻の理由を聞かないので気が楽です。
 
私は自主的に募金箱に100円入れました。遅刻して朝から嫌な気持ちにならず、
 
気をつけようという気持ちが自然に出てくるようになります」(清水氏)
 
 
 
 遅刻したら一日一善、というルールは、遅刻した理由を追及しないという意味と同じなのだ。
 
つまり「どうして遅刻したのだ」「社会人としてどう思っているのだ」などと余計なことに時間を使わないということだ。
 
 
 
 先に副社長が語った「ルールがあれば何をして何をしなくていいかがわかる」という意味は、
 
余計なことを考えたりして悩む無駄を省くということだとわかった。ここが普通の会社とアースコムの違いである。
 
 
 
◆ルールによって効率を最大化
 
 
 
 ルール至上主義の会社では、ルールをつくることによって、さらに感情的なストレスを生んでいる。
 
ルールを破ったら、その社員を追及し、精神的な負荷をかけている会社が多い。
 
ブラック企業がその典型である。しかし、アースコムが定義するルールは、社員に余計な精神的負荷をかけず、
 
効率を最大化させるものなのだ。そこには、社員を徹底的に大切にする精神がある。
 
 
 
このルールをベースとした仕組みづくりは、アースコムの第6期(2013年12月~14年11月)からスタートしているという。
 
そこには深い理由があった。08年に創業したアースコムは、ずっとルールをつくらない自由な会社だったという。
 
しかし、そこに落とし穴があった。
 
 
 
「ルールがないと、混乱も多くあったのです。社長が示した方針を自分の都合で解釈した社員が、
 
それぞれまったく逆のことをしたり、意見もいつもぶつかっていました。
 
社員同士の衝突が増えてくると離職率も高まります。以前は離職率が年30%になったこともありました。
 
 
 
『このままでは会社は伸びない』と危機感を感じ、
 
経営コンサルタントで株式会社武蔵野の代表取締役・小山昇氏から学んだ
 
『手帳型経営』に変えたのです。弊社では毎期『経営計画書』という手帳をつくり、
 
社員全員に配布しています。そこには、これまでの失敗の経験から学んできたことを明文化し、
 
それをしっかり覚え、守ることを徹底したのです。
 
 
 
 その結果はすぐに表れました。それまで混乱していた社員のコミュニケーションがすっきりとし、
 
余計な精神的ストレスもなくなり、明るくなり、仕事の迷いがなくなり、仕事の効率化も格段に向上しました。
 
そして社員も辞めなくなりました。何より、売り上げが急速に上がるという結果が表れました。
 
経営者と社員の価値観が揃うことが重要であると肌で感じています」
 
 
 
 経営計画書には、30項目に及ぶ内容が細かく書かれている。
 
経営理念や行動方針はもちろん、
 
「お客様への正しい姿勢」
「ライバルに対する方針」
「準備・段取りに関する方針」
「コミュニケーションに関する方針」
 
さらには「会社の財務方針」に至るまでオープンに書かれている。
 
これを創業者であり現社長の丸林信宏氏が毎年膨大な時間をかけて制作しているのだ。
 
 
 
 経営計画書の冒頭には、丸林社長の言葉が書かれている。
 
これも小山氏から学んだそうだが、そこにアースコムの経営精神が表れているので、一部を紹介しよう。
 
 
 
「『苦しい時はあっても、苦しい人生はない。夢は逃げない。逃げるのは自分です』
 
この経営計画書は、社長が最高責任者として、自分の過ちを正し、
 
お互いの価値観を同じにし、数字による目標を基盤として、方針を明確にし、
 
何をしてはいけないか、何をしなくてはいけないかを、熱い願いを込めて毎年計画を立て直したものです」(丸林副社長)
 
 
 
さらにアースコムでは、価値観を統一するため、「言葉の定義」にも200時間以上をかけて社員教育しているという。
 
たとえば、「愛」という言葉ひとつとっても、その定義を統一させているのだ。
 
「愛」ならば「関心を持つこと」というように、仕事以外の言葉でも数百個の定義を揃え、
 
コミュニケーションによる誤解が生じないようにしている。
 
 
 
 また、冒頭紹介した掃除を徹底することにも深い意味があった。
 
丸林副社長は、その狙いを次のように語る。
 
 
 
「ルールにはストレスを低減するだけでなく、ストレスを与える役割もあります。
 
掃除や整理整頓のような作業は小さなストレスを生みますが、
 
日常的に小さなストレスを無理なく受ける訓練をしていると、
 
トラブルが起こったときのような大きなストレスにも耐える心が自然に鍛えられるのです」
 
 
 
 実に科学的な考えである。
 
神は細部に宿るというが、会社のレイアウトから掃除や整理整頓、
 
細かなルールづくりや言葉に定義に至るまで、ここまで徹底している会社は多くはない。
 
 
 
 しかも、それによって会社に一本筋の通った清々しく明るい統一感を生んでいる。
 
またアースコムは、結果を出す社員に十分に報いる給与ルールもある。
 
さらに、多くの女性社員が生き生きと働いているが、
 
それも社長が女性の働きに十分に報い人生設計(金銭面を含めた)もアドバイスする姿勢があるからだ。
 
 
 
 また、今年6月1日には東京・人形町に新しいオフィスをオープンするが、
 
そこも入り口がガラス張りで、オフィス全体が見えるようになっている。
 
首尾一貫した経営哲学を貫くアースコムの姿勢には、全国の中小企業が学ぶべき点が多くある。
 
 
 
 
●鈴木領一(すずき・りょういち)
ビジネス・コーチ。ビジネス・プロデューサー。
自己啓発のレジェントであるナポレオン・ヒルが所属した「サクセスマガジン
社」の能力開発プログラムの企画開発責任者を務めた唯一の日本人。
さらに進化させた自己改革メソッド「フレーム・1%アクション」は
劇的な変化をもたらすメソッドとして今最も注目されている。
氏のコーチングを受けたことで、無職状態からEXILEとの共演を達成した
ケースや、起業して成功し新聞やテレビに取り上げられたケースなど、数多く
の成功者を次々に輩出している。近著に『100の結果を引き寄せる1%アク
ション』(サイゾー)がある。
 
 
※この原稿は、ビジネスジャーナルより鈴木領一氏の許可を得て
転載いたしました。
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15242.html
 
 
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