知って得する経営塾 第542号『実態の知らない政治家の軽率な決定』
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『実態の知らない政治家の軽率な決定』 MBA 長友 孝幸
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日本政府は2020年までに訪日外国人旅行者数を
「年間2000万人」とする目標を成長戦略として掲げ、
2012年以降、日本を訪れる外国人旅行者は増加するばかりです。
特に訪日外国人旅行者たちがもたらす経済効果、
いわゆる「インバウンド」に対応するために、
観光産業だけでなく、今後のオリンピック等の
国内イベントにも期待値が大きくなっています。
需要者側(利用者)から見ると、日本を訪れる外国人旅行者の増加により、
国内の宿泊施設は稼働率が年々上昇傾向にあります。
中でも顕著な伸びを示しているのが東京・大阪のホテルではないでしょうか。
新聞やテレビで話題になっている
「東京、大阪のホテルでは予約が取れない!!」
状況は今もほとんど変わりません。
特に首都圏のホテルの稼働率が上がるり、
客室料金は急上昇していることです。
一般的には、ホテルの稼働率が80%を超えると
客室料金が上昇するといわれますが、
ホテルズドットコムの2014年上半期の
ホテルプライスインデックスによれば、
日本の主要9都市のホテルの平均宿泊料金は、
対前年比で12%も増加しています。
ブランド感のないビジネスホテルでも、
本来は手頃な価格で宿泊できたはずが、
客室料金が値上げの傾向にあり、
中には、深夜時間によって価格が変動する
一泊数万円の高額料金を設定するようなビジネスホテルも
首都圏に数多く存在し、本来あるべきビジネスホテルや
シティホテル利用者にとって負担になっているはずです。
一方、供給者側(ホテル経営者)から見ると、
ホテルの立地、体系、規模によって様々な懸念材料が
今後の経営の舵取りに影響してきます。
他国の経験値による需要の動向の推移(特需)は、
その都市によって異なっています。
2010年の上海万博の際、中国では多くのホテルが
新たに開業されましたが、その後の客室稼働率が低下しています。
イギリスでもロンドン以外の地域のホテル客室稼働率は
低下したものの、オリンピック開催中を避けた外国人観光客によって、
ロンドン首都圏のホテルの客室稼働率は伸びているようです。
日本も同じように首都圏のホテルに関しては、
そのような事態を懸念しているでしょう。
2020年の東京オリンピックという一大イベントが終わった後に、
あるいは2週間弱の特需のためだけに
模を拡大させるわけにはいかない事情もあります。
そこで、政府は、外国人旅行者の宿泊施設不足への対応策として、
一般家庭などに有料で旅行客を宿泊させる
「民泊」の規制を緩和する方針を打ち出しました。
これまで有料の「業」として旅行客を宿泊させるには、
旅館業法に基づく許可を受ける必要がありましたが、
2020年の東京オリンピックのように
大規模なイベントが開催される時には、
旅館業法の許可がなくても民泊を可能とすることが計画したのでしょう。
更に、政府は宿泊体系が異なるラブホテルにも融資を促して、
宿泊施設を確保しようとしています。
本来、ラブホテルは時間貸しが主たる経営体系であり、
政府が期待している宿泊施設の機能だけでない方法で
収益を上げています。過去にラブホテルは風俗産業とされ、
国金が融資をするなんて考えられないことでした。
にもかかわらず、特需のために大きく制度が変化してきています。
ただ、この業界の実態を知らない政府の軽率な意思決定は、
今後のトラブルをもたらす要因を含んでいます。
旅館業法や消防法、建築基準法等の法律によって、
ホテルや旅館の利用者は、安全に施設を利用することができます。
稼働してない地方のラブホテルならともかく、
首都圏における民泊やラブホテルの外国人の宿泊の受入は、
日本人スタッフの言語力の問題、近隣の問題、安全性の観点から無理があります。
ただ、実態の知らない政府のその場凌ぎの軽率な決定は、
過去を振り返ってみても、一般市民が負担を背置くことになります。
お役人は企業家ではないですから、いずれ不良債権になることも
視野に入れて意思決定して欲しいですね。
金を貸したからと言って一瞬旨くいったとしても、
ホテルの経営は素人が容易にできるようなものではないのです。
◆◇◆ MBA 長友 孝幸 プロフィール ◆◇◆
株式会社比風屋 代表取締役 長友 孝幸
http://www.hifuuya.co.jp/about/
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