知って得する経営塾 第558号 『過労死等防止対策白書と長時間労働、過労死』
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『過労死等防止対策白書と長時間労働、過労死』 特定社会保険労務士 東海林正昭
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メルマガの読者の皆様お元気ですか。
今回は、電通事件を通して長時間労働、過労死などについて解説します。
大手広告会社の電通の女性社員が平成27年4月に入社し、
10月の本採用後に業務量が増大し、11月にうつ病を発症し
SNSで、
「土日も出勤しなければならないことが決定し、本気で死んでしまいたい」
「休日返上で作った資料をボロクソに言われた。もう体も心もズタズタだ」
と発信し12月25日に飛び降り自殺し、発症前の1カ月の時間外労働時間は
約105時間(69.9時間に隠蔽)とされ平成28年9月に労災認定になりました。
平成28年10月14日に三田労働基準監督署、東京労働局過重労働撲滅対策班(かとく)が
電通本社、その後に子会社等に労基法違反で立ち入り調査をしました。
さらに平成28年11月7日、労働基準監督官ら88人が
電通本支社4か所を労働基準法違反の疑いにより強制捜査しました。
今後、処分の詳細が発表される見込みです。
電通は時間外労働時間の上限を月70時間とする36協定を締結していましたが
平成26年、27年に上限を超える違法な長時間労働により是正勧告を受けており、
25年前には、入社2年目の男性社員が過労自殺しその後労災認定になり、
平成12年には、その男性社員の遺族からの損害賠償請求に対して
最高裁が会社の過失責任を認定しています。
さらに、3年前の男性社員の過労死に対して今年、労災認定になりました。
その後、電通は時間外労働時間上限を月65時間に短縮し、
午後10時に全館を消灯しました。
厚生労働省は、平成27年4月から12月にかけて、
長時間労働が疑われる8530事業場 に監督指導を実施しました。
このうち、全体の76.2%の6,501事業場で労働基準法などの法令違反あり。
違法な時間外労働があったものが 56.2 %の 4,790 事業場で、
1か月当たり100時間を超えるものが59.7%の2,860事業場、
1か月当たり150時間を超えるものが12.4%の595事業場、
1か月当たり200時間を超えるものが2.5%の120事業場、
1か月当たり250時間を超えるものが0.6%の27事業場になっています。
国は、平成28年10月7日に「過労死等防止対策白書」を発表しました。
過労死等防止対策推進法第2条に、業務における過重な負荷による
脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡、業務における強い心理的負荷による
精神障害を原因とする自殺による死亡、死亡には至らないが、
これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害と定義づけされています。
長時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらし、過労死等の最も重大な要因です。
労働時間だけでなく、生活時間等の労働者側の状況等も含めた要因
及びそれらの関連性も分析し、労働・社会面からみた過労死等の状況を探るため、
企業及び労働者を対象として、平成27年12月~平成28年1月にアンケート調査を実施し、
企業調査約1万社(回答1,743件)、労働者調査約2万人(回答19,583件)でした。
1か月の時間外労働時間が最も長かった月において、80時間超と回答した企業の割合は、
①情報通信業、②学術研究、専門技術サービス業、➂運輸業、郵便業の順に多いです。
尚、過労死等防止対策白書によると過労死等の防止対策として、
調査研究等、啓発、相談体制の整備等、民間団体の活動に対する支援などを行います。
皆様の企業も過労死等の防止、長時間労働削減に取り組みましょう。
◆◇◆ 特定社会保険労務士 東海林 正昭 プロフィール ◆◇◆
https://www.ecg.co.jp/about/syoji.php?mm=558
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次号、第559号は11月21日(月)に配信予定です。
どうぞお楽しみに!
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